海外学校関係者の方

在外教育施設事務長会議 2015年度開催内容 分科会B-欧米地区・日本人学校<8月7日(金) 8:40-10:10>

地区および現地政府特有の課題について

◆所在国・政府対応、法規制や制約
◆教材の調達

 ●所在国・政府対応、法規制や制約
  • 現地での私立学校という位置づけで、現地の国および州の両方から毎年の補助金があり、全体の収入に対しての45%程度になる。そのため現地の州政府の規則、学校法令に従うことが必要である。特に安全面で火災等に対して基準が厳しい傾向にある。
  • 現地政府の学校ステータスとして補完学校という位置づけであるため、現地から学校認可はあるが補助金等の援助はない。ただ学校の土地は半永久的に無償貸与ということになっている。半永久的にといわれているが一応借用期間は50年といわれている。借地契約書にちゃんと金額が書いているが、実際は無償ということになっている。
  • 市に日本人学校があるため、相当の日本人が滞在することができ、結果、市の財政が潤っているという側面もあるため、実質無償で貸与している現地の学校の土地や建物の借用期間の延長については、在外公館の大使が現地市長に頼み延長することができた。
  • 現地では外国語学校という認定を受けている。また義務教育法で学校として認められており、現地語の授業を充実させているが、現地の子女は日本人学校に受け入れることはできない。現地の法令に合わせて、学校の安全面で年に数回保健局の査察が入る。
  • 州の私立学校として学校認定されており、学校予算の5割近くの援助を受けており、また学校の土地や建物は市から購入している。そのため何年かに一度当局から、学校使用という目的から外れていないか査察が入る。
  • 学校は日本人会の持ち物としてNPO法人で登録されているが、政府からは学校としては認められていないため、税金徴収はない。
  • 私立の会社として学校を登記所に登記している。また、チャリティのステータスをもらっているため固定資産税の8割を免税されている。また、当局の学校評価が定期的にあり、学校で働くスタッフの犯罪証明が必要となる。
  • 移民、難民問題等から市自体の失業率が高い傾向にあるため、派遣教員、学校採用教員の就労ビザ取得が年々大変になっている。当局への申請の際、言葉の問題もあり都度事務方が同行し、家族の分も戸籍謄本を取り寄せ、在外公館の訳をつけて提出している。
  • 教員の就労ビザは現地に入国してから取得するケースと入国する前、日本滞在中に取得するケースとがある。
  • 仮の就労ビザを取得する段階と正規の就労ビザを取得の際にも費用が発生する。
  • 教員の就労ビザは申請の際、指紋、雇用契約書、保険証書、給与証明票の添付が必要になり、手続きが増えたが、現地の在外公館の方から調整してもらい時間短縮を図っている。
  • 就労ビザ取得の申請書類が簡易に取得できる条件としては、あくまでも現地の日系企業で働いている場合である。
  • 現地のインター校が集まる校長会があり、通訳として同行し、学校の様々な問題について情報共有できる場を活用している。
  • 日本人学校に通学する児童が現地校に通学しないことで、現地州政府等に一人につき定められた金額を支払う場合がある。
  • 現地当局側の担当官が交代する度に、日本人学校で定めている祝日休日等について、特に1年間の総休日数については、説明を求められる。
  • 現地の法律でその職場で一定の現地の方がいないと日本人を雇えないことになっている。ただ、条件を満たさなくても、罰金を支払えば日本人雇用は認められる。
  • 派遣教員の就労ビザの期間は2年間なので、延長した場合には、改めて作成することになる。弁護士に頼むと費用がかさむので、学校事務方で申請する。最初の1年目の部分は個人負担で、日本で取得しているが、延長の部分は家族の部分もあわせて学校側が支払っている。

教材の調達

  • 理科教材は財団にお願いしているが、その他のものは現地調達している。先生方の教材についてはそれぞれ希望を伺ったうえで、教務主任や事務長などで選定委員会を開き、それが適切かどうか判断し予算化して発注している。
  • 方眼紙やドリルなどの補助教材は、現地の物流会社や日系書店を通じて調達している。保護者が日本に出張で帰るときや派遣教員の一時帰国時に買ってきてもらったりして調達するケースもある。極力現場の先生にはこの教材でなければいけないということをやめてもらうようにお願いしている。
  • 教科書は在外公館が受け取るため税金は払っていない。物流は都市によって費用を安く抑えられる。
  • 在外公館経由で教科書を調達し、副教材は財団経由で調達している。理科で使用する植物の種とかは似たようなものを現地で調達している。
  • 教科書の通関で発生した費用は、3か月に一度、定期的に申請すれば戻ってくる制度がある。
  • 税金が高いため、送付先を在外公館宛にすることで融通してもらうこともある。主な教材は在外公館、その他のものは学校宛に分けている。
  • 納期の遅れが目立った業者との取引をやめ、他の日本人学校関係者の紹介から別の業者を活用するようにした。結果、学期の前にちゃんと教材が納入され、現場の教員は大変満足している。
  • 教科書の選択について自由選択になったが、学校の現場では、学校ごとに教科書が違うのはまずいという感覚があり、教科書は今までどおりの方向で考えている。
  • 漢検や英検などのテストはある程度人数が集まらないとテスト実施が難しいため、現地の日本人会等に広報してもらい、一定の人数を集めるようにしている。
  • 税金は安いが、2kg以上の印刷物が受け取れない。若干名の実力テスト等の書類ですら、なかなか受け取れず通関で止まってしまうことがある。インターネットで添付ファイルにしてもらうなど、善後策について直接業者に連絡して相談するのも一法である。
  • 公益法人として登録しているため無税措置。

以上