海外子女教育ニュース

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2024年度 第2回経営アドバイザリーコミッティーを開催しました(海外子女教育振興財団)2024.11.13

海外子女教育振興財団(JOES)は10月28日、本財団の綿引宏行理事長と浅原賢業務執行理事、葭和宣事業部長がホストとなり、JOESが社会やステークホルダーにとってより高いサービス価値を創造し続けるために、今年度第2回の経営アドバイザリーコミッティーを開催しました。

JOESの現状と今後に向けた新たな取り組み等について説明し、アドバイザーの方々から意見や感想をいただきました。今回の参加者は次の有識者7人。

東京大学大学院情報学環客員教授の辻村清行氏、環太平洋大学学長の大橋節子氏、渋谷教育学園渋谷中学高等学校長および早稲田渋谷シンガポール校副校長の高際伊都子氏、ドリームプロジェクトスクール を主宰し大学や高等学校で顧問や講師を務めている山本秀樹氏、島根県教育魅力化特命官で(一財)地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事の岩本悠氏、スタンフォードオンラインハイスクール校長の星友啓氏、『DAILYSUN NEW YORK』プレジデントの武田秀俊氏。 

今回は、JOESのサービス対象領域を広げることに関する定款変更に向けた進捗状況のほか、「未来戦略」や新規事業等に関する説明が行われ、アドバイザーの方々から意見をいただきました。

定款変更に関しては、事業の対象範囲を「日本と海外につながりを持つ子ども」に広げることで、海外子女、帰国子女だけでなく、永住者のほか「国籍にこだわらない、世界中の子ども達」の教育支援に取り組めるよう変更の手続きを行っている旨、報告されました。

その定款変更を視野に入れ、「未来戦略」と位置付けて、帰国もしくは永住予定および現地国籍の児童生徒に対する「国語・継承日本語・日本語支援」「(地域別に日本人学校等をハブ校とする)オンラインジャパニーズスクール構想」、さらにペルーと日本における新しい時代を担う子ども達同士の絆づくりとそれを支える教員、関係団体等の人的ネットワークを形成することを目的とした「ODA ペルーとの国際教育共創プロジェクト」について概要が説明されました。

続いて、次年度の新規事業案として、JOESの維持会員企業の駐在員家族と日本人学校の派遣教員等を対象とした「メンタル支援」や、在外教育施設を対象とした「危機管理包括支援」のグランドイメージに関して紹介され、アドバイザーからの意見を仰ぎました。

グローバル教育に精通している大橋氏は「定款はJOES存在の根幹であるから、名称と事業の関連性も含めてロジカルな見直しが必須である。日本語支援教育に関しては日本語学習の魅力を広く伝えられるよう、さまざまな日本語教育機関に働きかけて改革に取り組んでいただきたい」と要望しました。

現在、世界有数のオンラインハイスクールの校長を務めている星氏は「日本語教育のサービス対象を広げる場合、ニーズの調査は必要。対象者が多くいる地域をモデルとして調べてみてはどうか。また、危機管理支援に関してはコミュニティーやアドバイザリーのボードを持ち、ガバナンス機能もきかせられるような仕組みを持てるとよいのではないか」と話しました。

ニューヨークの現地事情に詳しい武田氏は「現地を活用する視点は素晴らしい。セキュリティーに関しても文化的背景が伴うので地域のコミュニティーを活用するといいだろう。オンラインジャパニーズスクールに関しては、ニーズはあると思うが定期的に『会う』機会を設けられるとよい」と提案しました。

地方都市の公立高校への留学プロジェクトを順調に進めている岩本氏は「オンラインジャパニーズスクールは、学びの相性を考えて、まずは上の学年から始めてみてはどうか。授業配信は中央配信方式で行い、ハブ校には空間を使わせてもらうという進め方を勧める。また、危機管理に関しては全体でした方が効率的なことはJOESで、現地でした方がよいことは各マネージメントに任せるなど切り分けて考えてみてはどうか」と自身の経験を踏まえてアドバイスしました。

ICTに関する専門家でビジネスの世界でも豊富な経験を持つ辻村氏は「50年ぶりの定款変更はぜひ行ってほしいが、サービスの対象領域を広げる場合、その目的、対象範囲、提供内容を具体的に徹底して議論しておく必要がある。また、オンラインジャパニーズスクールに関しても、日本に帰国する予定のない子どもたちは日本語のどのような部分が必要なのか、なぜ必要なのか、学習させる目的は何か、明確にしておく必要がある」と指摘しました。

小学生の頃にフランスで現地校に通い、ミネルバ大学の日本連絡事務所代表を務めた経験を持つ山本氏は「ジャパニーズオンラインスクールで学ぶ対象者を日本に関心を持つ外国人に広げることを考えてみてはどうか。国が応援している文化的・教育的コンテンツを提供できるというJOESが行う価値を考えて、コンテンツを作り直したり、日本好きの外国人を地方の学校等とつなぐコーディネートをしたり等、新しい付加価値を探ってみてはどうか」と提案しました。

帰国生が多く通う学校の校長として国内外の教育に広く携わっている高際氏は「定款変更は、企業が社員のグローバル化に対応し、日本のプレゼンスを高める方向の活動をしやすくすることと理解している。時間がかかるのであれば、スモールステップの積み重ねを続けながら進めていってほしい。一方、JOESで行うのが難しそうなものに関してはAIの活用や自動化、外注も視野に入れて、前向きに業務を精査してみてはどうか」と述べました。

視聴した職員からは「外部の有識者の方々から励ましや的確なアドバイスをいただける機会があるというのは有難いこと。JOESの役割を考えてしっかり取り組んでいきたい」等の声が聞かれました。

次回のアドバイザリーコミッティーは来年5月に開催される予定です。

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