海外子女教育ニュース

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2024年度 第1回経営アドバイザリーコミッティーを開催しました(海外子女教育振興財団)2024.06.05

海外子女教育振興財団(JOES)は5月22日、本財団の綿引宏行理事長と浅原賢業務執行理事、葭和宣事業部長がホストとなり、JOESが社会やステークホルダーにとってよりよい組織に進化していくために、今年度第1回の経営アドバイザリーコミッティーを開催しました。

JOESの現状と次期中期計画について説明し、アドバイザーの方々から意見や感想をいただきました。

今回の参加者は次の有識者6人。

東京大学大学院情報学環客員教授の辻村清行氏、渋谷教育学園渋谷中学高等学校長および早稲田渋谷シンガポール校副校長の高際伊都子氏、ドリームプロジェクトスクール を主宰し大学や高等学校で顧問や講師を務めている山本秀樹氏、島根県教育魅力化特命官で(一財)地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事の岩本悠氏、スタンフォードオンラインハイスクール校長の星友啓氏、『DAILYSUN NEW YORK』プレジデントの武田秀俊氏。 

JOESが21年度に示した計画が着実に進められていることが評価されたほか、ネットワーク拡充や日本語支援、未来世代協創プロジェクト等に関してさまざまな意見が出されました。

特に、政府に認可されれば場所を問わず補習授業校での学びが保障される「オンラインジャパニーズスクール」の構想については、次のようなアドバイスをいただきました。

現在、オンラインハイスクールの校長を務めている星氏は「日本人学校でも補習授業校でもない第3の器になり得る。オンラインであれば施設のキャパシティーや通学時間含めた負荷の問題を解決することができる。多様なアイデンティティを持つ子どもを横につないで日本人意識を高めていくことにも取り組めるといい。まずは自由に始めて、その効果を国に届けてもいいのではないか」と述べました。                          

ICTに関する専門家でビジネスの世界でも豊富な経験を持つ辻村氏は「多様性のある子どもたちに向けてどう運営していくかが課題。現地校に通っている子どもたちや保護者の課題は何か。国籍や日本に帰国予定の有無などで場合分けをして、対象と伝える内容を明確にすることが必要。これは日本人としてのアイデンティティに関わってくることで、政府を巻き込んで議論を深めていけるよい機会だろう。現実的にはできるところから始めていくとよいのではないか」とアドバイスしました。

自身の子どもが補習授業校に3月まで通っていたという武田氏は「帰国予定の有無や国際結婚家庭か否か等、子どもの環境はさまざまでどこに焦点を当てて、なにを目的に授業をするのかをよく検討すべき。また先生のレベルも問われるだろう。日本人としてのアイデンティティをどう捉えていくかも考えないといけない」と課題を指摘しました。

小学生の頃にフランスで現地校に通い、ミネルバ大学の日本連絡事務所代表を務めた経験を持つ山本氏は「法改正を待つのではなく、駐在員向けのサービスとして、すでに存在するコンテンツを活用して先に一つの学び方のプロットタイプを作ってみてはどうか。国がそれを見て『やろう』と思えるような取り組みができるといい」と応援しました。

地方都市の公立高校への留学プロジェクトを順調に進めている岩本氏は「オンラインでの日本語教育のサービスはすでにある。ここで本当に作らないといけないのは何か、どんなニーズがあるのか。まずは日本国籍を持つ子どもたちに焦点をあてて議論してみてはどうか」と提案しました。

帰国生が多く通う学校の校長として国内外の教育に広く携わっている高際氏は「国に認めてもらうには財政支援の裏付けが必要。支援対象者の範囲を拡大することへのコンセンサスをこの国全体で持てるかどうかがカギになる。国外に出た子どもも日本人であり、将来日本のために働いてもらうための仕組み作りなんだという『魅力』を広く示すことが大切だろう。課題はあるが自由度を持ってやれるといいだろう」と背中を押しました。

視聴した職員からは「アドバイザーの皆さんのポジティブな指摘やアドバイスに夢のように思えていたいろいろなプロジェクトが現実味を帯びてきた気がした」、「プロジェクトの対象となる子どもの声を聴く必要性を強く感じた。できるところから努力したい」等の声が聞かれました。

次回のアドバイザリーコミッティーは今秋に開催される予定です。

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