海外子女教育ニュース

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海外子女教育振興財団の2023(令和5)年度事業計画と予算が決定(海外子女教育振興財団)(2023年5月号)2023.04.26

3月27日、経団連会館(東京都千代田区)にて、公益財団法人海外子女教育振興財団の23年度の事業計画および収支予算書が、本財団の理事により承認された。23年度の事業計画および予算等は次の通り。

(1)2023年度事業計画

■公益目的事業1
海外・帰国子女に対する教育、海外勤務者およびその家族に対する研修、その他の支援
(1)通信教育(文部科学省補助事業)
帰国後の円滑な学習適応を目的として、義務教育年齢の海外子女を対象にした通信教育「小・中学生コース」を実施する。「国語・算数/数学コース」では日々の学習のために国語はブック教材、算数/数学はインターネット教材を提供し、毎月の学習確認のための添削問題等により添削指導を行う。「理科・社会コース(小学3年生から)」では、日々の学習から学習確認までをネット上で行えるインターネット教材を提供。
さらに、就学前の0歳から6歳までの幼児を対象に、読み聞かせを通して母語である日本語に触れてもらうための絵本等の配本サービスを行う「幼児コース」を実施する。
また、小学低学年向けに家庭での読書習慣を推奨するイベント等を企画・実施する。
(2)外国語保持教室
帰国子女が海外生活で身につけた語学力の保持を目的に、英語およびフランス語のクラスを開講する。学校施設等を貸借して開講している対面型教室の一部統廃合を進め、オンライン授業数を拡充する。
また、幼児(年中以上)や日本人学校等で英語を身につけてきた児童を対象とした「English Learnerユsコース」を首都圏・中部・関西五教室にて新設する。
(3)講習会
海外赴任者および帯同家族(配偶者および子女)を対象に、出国前の不安を解消し、海外での生活を充実したものとするため、各種講習会プログラムを提供する。
また、新たに「海外子女親学セミナー」「帰国に向けた準備セミナー」等の無料セミナーを実施し、滞在中・帰国後のご家族の財団サービス利用を促す。
(4)教科書配付(文部科学省依頼事業)
保護者の海外赴任に伴って出国する義務教育年齢の子女に対して、日本の教科書を配付(または送付)する。
また、海外から在外公館経由での追加配付申請があった場合も送付する。

■公益目的事業2
海外の日本人学校・補習授業校等に対する運営上および教育上の支援
(5)教材整備(文部科学省補助事業)
政府援助対象の日本人学校・補習授業校・私立在外教育施設に対して、日本国内の小・中学校の整備基準に準じて、国庫補助金により教材・教具等を手配し送付する。
(6)教材斡旋
学校独自予算より購入を希望するワーク・ドリル類、デジタル教材、学校備品、補助教材等を手配し送付する。
(7)保険の斡旋
文部科学省の依頼により創設した政府派遣教員とその帯同家族を対象とする医療補償制度のほか、在外教育施設向けの海外学校傷害保険、海外学校賠償責任保険、海外学校ボランティアサポート保険について、財団が契約者となり加入の取りまとめ等を行う。
(8)安全対策援助等
日本人学校・補習授業校を対象に、在籍児童生徒の安全確保を目的とした資金援助を実施する。
また、在外教育施設で発生した想定外の自然災害や火災等緊急事態の被害により、児童生徒の当面の授業にも支障を来す場合には緊急の資金援助を行う。
(9)運営支援
日本人学校・補習授業校の学校運営に関して、教職員の雇用支援、スクールカウンセラー等による教育支援を行う。
また、日本国内の団体が在外教育施設に対して行う教材、図書等の寄贈やコンクール・コンテスト等の広報、日本人学校・私立在外教育施設のICT環境充実のための支援を行う。
さらにグローバル人材育成や特別支援教育・ICT教育等の推進と国際交流拠点としての機能強化を目的とした在外教育施設に対する支援および教育プログラム開発やイベントを開催し、教員のグローバル化と共に未来世代の人材育成にも取り組む。
(10)寄附金の募集
在外教育施設等からの要請に基づき、校舎建設等の資金調達のための寄附金(特定公益増進法人に対する寄附金等)の募集を行う。
(11)コンクール
海外での日本語の学習を促すため、海外子女を対象とした文芸作品コンクール(第44回)を開催する。作文・詩・短歌・俳句の四部門について、各部門の優秀者には文部科学大臣賞、各協賛団体賞、海外子女教育振興財団会長賞をはじめとする各賞を、優れた作品が多数認められた学校には学校賞を授与する。

■公益目的事業3
海外・帰国子女教育に係る教育相談・情報提供・広報・啓発および調査・研究
(12)教育相談
在外教育施設や帰国子女受入校での教育経験を持つ専門の教育アドバイザーが、出国前から帰国後までの教育事情や学校選択、特別な配慮を要する子女のことなど、外部の専門家と連携して、教育相談を行うほか、新規出国者向けの各種セミナーを実施する。
また、教育アドバイザーを拡充し、仙台・名古屋・豊田・広島・福岡等中核都市の相談等への対応強化をはかる。
さらに、民間の学習塾・予備校・留学エージェントと引き続き連携し受験相談等を行うなど幅広く教育に関する相談に対応する。
(13)情報サービス
海外赴任者やその家族をはじめ、海外進出企業・団体からの問い合わせに対して、必要なアドバイスや情報提供(赴任先の学校、入学手続き、帰国子女の受入校等)を窓口・電話・Eメール等で行う。
(14)企業・団体会員等への支援
企業・団体が実施する海外赴任者研修等に教育アドバイザー等を講師として派遣し、海外子女教育に関する講演および教育相談を行う。
また、企業・団体の海外駐在員派遣業務担当者を対象とした海外・帰国子女教育に関するフォーラムや担当者間の情報交換会等を開催する。
さらに、在外教育施設の基本情報および学費等の調査を行い、その結果を専用サイト上で提供、または資料を配付する。
また、さまざまな問い合わせに対して、必要なアドバイスや情報提供を行う。
(15)帰国子女教育支援
海外子女が帰国するにあたり、希望する学校の受入条件や状況が把握できる機会を設けることを目的として、帰国子女受入校、教育アドバイザーによる情報提供・説明会・相談会を実施。
また、帰国子女の受入校や帰国子女教育に積極的にかかわる機関に対して支援を行うとともに、帰国子女教育に関する学校会員連絡協議会を開催し、帰国子女教育の振興をはかる。
(16)調査・研究等
在外教育施設や帰国子女受入校を含め、海外・帰国子女教育に関する調査・分析や図書・資料等の収集を行うとともに、海外の現地校等の実態調査や情報収集等も行う。
また、海外・帰国子女教育振興のための提言を行う。
(17)刊行物・資料等配付
次の刊行物等を発行・頒布する。
 a.機関誌『海外子女教育』(月刊・ウェブ版)
*8月号で終刊、9月以降は新形態(ウェブサイト内コンテンツ)で配信
 b.書籍『新・海外子女教育マニュアル』
 c.書籍『帰国子女のための学校便覧』(年刊)
 d.書籍『地球に学ぶ』(海外子女文芸作品コンクール作品集)(年刊)
 e.書籍『海外で暮らして 〜体験したこと、学んだこと〜』(海外子女文芸作品コンクール35周年記念作文選集)
 f.書籍『英語ナビ』
 g.書籍『言葉と教育』
 h.書籍『サバイバルイングリッシュ』
 i.書籍『ぬりえ さばいばるいんぐりっしゅ』
 j.書籍『新・私たちはいかにして英語を失うか』
 k.出版物『インターナショナルスクールに通うということ』
 l.出版物『日本人学校に通うということ』
 m.出版物『母語を育てるということ』
 n.出版物『海外子女教育手帳』
 o.パンフレット『母語の大切さをご存知ですか?』
 p.パンフレット『現地校入学のために─アメリカ編─』
 q.パンフレット『現地校入学のために─イギリス編─』
 r.パンフレット『帰国に向けて』
 s.パンフレット『お子さんの外国語保持のために』
 t.パンフレット『小さな子どもと送る海外生活』
 u.パンフレット『海外赴任前のご家族の生活準備教室』
 v.日本人学校・補習授業校別パンフレット
 w.物品『はんかち さばいばるいんぐりっしゅ』

(2)2023年度収支予算

経常収益
…11億9583万2千円
経常費用
…12億7938万円
右記承認されたほか、「資金調達および設備投資の見込みを記載した書類」に関する議案が審議され、報告事項含めすべて異議なく承認された。
2023年度新規援助対象校

2023(令和5)年度から次の補習授業校が政府援助の対象となった。
●くるみ日本語ハウス(CA)補習授業校(アメリカ・カリフォルニア州)
●パリ天理語学センター補習授業校(フランス)

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