海外子女教育ニュース

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海外子女教育基礎講座を名古屋、大阪、東京で開催 (海外子女教育振興財団)(2019年12月号)2019.11.27

海外子女教育振興財団は10月3日に名古屋(名古屋市・名古屋国際センター)、同10日に大阪(大阪市・毎日インテシオ)、同17日に東京(東京都港区・金沢工業大学大学院虎ノ門キャンパス)で、本財団の維持会員企業・団体の海外人事担当者や学校会員の帰国生受け入れ担当者等を対象に「海外子女教育の概要」に関する基礎講座を開催した。
名古屋会場では本財団東京本部の清水賢司教育相談員、大阪会場では同関西分室の菅原光章教育相談員、東京会場では同東京本部の佐々信行教育相談員が演台に立ち、「海外での学校選択、幼児教育、手続き等」と「帰国後の学校選択等」について講話を行った。
名古屋会場は15社・2校から19人、大阪会場は10社・4校から16人、東京会場は50社・10校から70人、3会場合わせて75社・16校から103人の参加があった。
本欄では、東京会場の様子を紹介する。
冒頭で中村雅治理事長があいさつに立ち、日ごろの支援と本講座への参加に対して感謝のことばを述べるとともに、日本人学校や補習授業校の概要や海外子女の傾向や動向等について紹介した。
現在、乳児期から高校段階まで、約17万人の子どもが海外で暮らし、特に急増している乳幼児は約7万5000人に上ると述べ、その支援を今後の課題の一つに挙げた。
さらに、海外の教育施設の授業料は学校種や国・地域によって大きく異なる点にも触れた。また、社会のグローバル化を背景に義務教育段階で現地校やインターナショナルスクールのみに通うケースが全体の約半数を占めているという状況や、本財団が3年前から取り組んでいる文部科学省からの委託事業「在外教育施設の高度グローバル人材育成拠点事業」について説明した。
続いて佐々教育相談員が講話を行い、はじめに海外で増加傾向にある低年齢の子どもたちの母語に関して、安易に考えてはいけないと注意を促した。
母語の発達に重要な時期に海外に滞在することについて、「ことばの基本は母語で育つ」と述べ、外国語の習得に関しては、第二言語を習得するためには年齢相応の母語が身についていることが重要であると解説した。
バイリンガルにはいろいろなイメージがあるが、「英語も日本語も中途半端」という事態は避けたいと述べ、具体的に三歳までは「話しかけ」「読み聞かせ」で母語のインプットを、4〜8歳には日本語を話す環境のなかでの「友達づくり」を、九歳以降は「学習言語としての日本語の確立」を励ましたり動機づけを行ったりしながら進めていけるとよいと話した。
次に、私立在外教育施設を含めた日本人学校や補習授業校のほか、インターナショナルスクールや現地校の特色について海外の教育制度を交えて説明した。
日本人の子どもが通うには、学校の種別によってそれぞれに強み・弱みがあるが、「短所は工夫して補えばよく、前向きな思考が力を生む」と述べ、選んだ学校を信じてしっかり学ぶ姿勢の大切さを強調した。
休憩を挟み、講話は帰国後に関する内容に及んだ。
1年間で帰国する児童生徒数は1万2000人を超え、帰国先で多いのは東京、神奈川、愛知、千葉、埼玉、大阪の順であると紹介した。
また海外で身につけてきた外国語の保持に関しては、「帰国時の年齢や環境も影響する。保持教室等の外国語を使う環境を利用して、保持するモチベーションを高められるとよい」と述べたうえで、「『ことば=生活』、帰国後は子どもの『ことば』は日本語になる。海外で身につけた音の感覚や生活の記憶は残るものなので、無理をしないで長い目を持って見守ってほしい」と説いた。
さらに帰国児童生徒の受け入れ校について、小中高段階・国公私立別に概要や入試内容、帰国時の学年・海外滞在年数を含めた受験資格等について解説した。帰国生入試では特に海外での学習の成果が期待されると述べ、海外にいる間は「いまできることにベストを!」と、現在の環境で充実した学びをすることに力を注いでほしいとエールを送った。
終了後、企業の人事担当者からは「家族を帯同して海外に赴任するということがどういうことなのか、特に子どもの人生に大きな影響を与えるということを知った。情報収集等、駐在員自身の自主性も促していきたい」「社員が仕事に集中できるようにするためにも、帰国後のことも含め、駐在員への支援を大切に考えていきたい」等の感想が寄せられ、帰国生受け入れ校の先生からは「海外子女の傾向がよくわかり、現地校やインターナショナルスクールの様子もイメージできた。教育システムや環境の違う学校からの帰国生の戸惑いをあらためて知った思い。彼らのニーズにこたえられる受け入れを考えていきたい」「国内を見てもグローバル化・多様化が進んできているのを感じる。社会の動きに対応した取り組みを進めていきたい」等の声が聞かれた。

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