海外子女教育ニュース

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第70回グローバル化社会の教育研究会開催(2019年9月号)2019.08.20

7月8日、70回目となる「グローバル化社会の教育研究会」が聖学院中学高等学校(東京都北区)で開かれ、教育関係者を中心に約二十人の参加があった。「AIとグローバル化の時代に必要とされるコンピテンシーとは?」をテーマに、元文部科学副大臣・前文部科学大臣補佐官で、現在、慶應義塾大学政策メディア研究科・総合政策学部および東京大学公共政策大学院の教授を務める鈴木寛氏が話題提供を行った。
鈴木氏は日本でアクティブラーニングの導入をいち早く推進し、高大連携の立て役者との呼び声も高い。2020年度から始まる学習指導要領の改訂や大学入学制度改革のほか、学習の機会均等などにも尽力している。
近年、「AI化により仕事内容が大きく変わる」といわれる。また外国人労働者の増加など、国内のグローバル化が急速に進んでいる。そのような時代を生きる子どもたちに向けて鈴木氏は、「ゆとり教育を廃止したり小学校から英語教育をとり入れたりなど、さまざまな教育改革が進められてきた」と説明したうえで、最近のPISAや国立青少年教育振興機構の調査結果を紹介した。
日本の15歳の学力は世界的にトップレベルに返り咲き、読書習慣も定着してきているが、その一方で「学び続ける意欲」や「世界への貢献意欲」は最低レベルの結果だったという。さらに日本の高校生はアメリカ・中国・韓国に比べて「自己肯定感」の低さが目立つと問題視した。
今後、日本人に求められる能力について「『AIでは解けない難問と向き合い続ける力』『多文化・多様性への対応力』とし、想定外や板挟みになっている問題に対し、乗り越え、幸せを仲間と共に創造していく意欲が大切」と述べた。
さらに、そういった教育の推進には、「将来、自分もこうなりたい」と思えるようなロールモデルを見せることが必要で、保護者や地域の応援があるかどうかが大きなカギになると力を込めた。
会場からは「PISAの調査はデータ段階でバイアスがかかっていないか」、「学ぶ意欲は国の豊さに関係するのではないか」、「アクティブラーニング等は教員の負担が大きく、その技量が成果に大きく響く」等の声が上がり、その一つ一つに鈴木氏が丁寧に答え、参加者の議論が深まった。

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