海外子女教育ニュース

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第69回グローバル化社会の教育研究会開催(2019年6月号)2019.05.20

4月16日、69回目となる「グローバル化社会の教育研究会」が聖学院中学高等学校(東京都北区)で開かれ、教育関係者を中心に約20人の参加があった。「われらが科学技術立国の行方……インドとの高度人材交流を通して、日本人材、社会のグローバル化を考える」をテーマに国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)・国際連携アドバイザーの西川裕治氏が話題提供を行い、来場者と活発な意見交換をした。
 西川氏は大手総合商社で海外営業を長く経験したほか、日本貿易会や日本在外企業協会の広報部長兼機関誌編集長、さらに昨年の3月までJSTインド代表としてニューデリーに駐在した経歴を持つ。
 まず司会者から、「近年、海外子女が増えている一方で日本人学校の在籍者数は減少傾向にある。海外駐在員家庭の英語教育志向は強まっているのではないか」との前置きがあった。それを受けて西川氏が壇上に立ち、ICT分野等で発展著しいインドと、経済大国の座を脅かされつつある日本との関係について解説したほか、両国間の交流を活発化するために日本の学校や大学ができること等に関して提言をした。
 西川氏によると、インドにはインド工科大学など優秀な人材を育てる大学があり、グーグル、マイクロソフトなど世界のトップ企業でもインド人は大活躍している。日本の若者が、多様性に富む優秀な世界の若者と交流し、刺激し合い切磋琢磨することは、今後の日本の発展のために必須だが、欧米と比べて日本の学校・大学はインドとのつながりが弱いのは残念なことだと話した。
 一方、「インドにはアニメ、漫画等の影響で日本に関心を持つ若者は珍しくない。日本側の受け入れ体制さえ整えばインドからの留学生は増える。日本は国を挙げて海外からの留学生を増やそうとしているが、そのためには海外の若者が使いやすい入試制度、奨学金制度や英語で学位を取得できるコース等を整備・拡充する必要がある」と説いた。そして具体案の一つとして、アジア等からの優秀な若手人材受け入れの一翼を担う交流事業「さくらサイエンスプラン」についても触れた。
 この事業は産学官の連携により、「日本とアジア等の国・地域との友好関係を強化する」、「日本の教育・研究機関のグローバル化を促進する」、「科学技術イノベーションに貢献し得る海外からの優秀な人材の育成と継続的な交流に寄与する」ことを目的に、海外の優秀な若手人材を日本に招へいし、日本の科学技術を体験し交流してもらう事業である。2014年にスタートし、5年間で2万6千人以上の若者が訪日しているという。
 インドの20歳前後の層の人口は日本の約20倍で、その国力が秘める可能性は非常に大きい。最近では、海外研修旅行先にインドを選ぶ日本の高校も出てきている。今後ますます日本とインドの若者交流が盛んになり、将来の両国の発展につながってほしいと締めくくった。
 会場からは「我が校ではインドへの研修旅行を予定しているが、安全や衛生面で保護者の不安が大きい。どう説明したらよいのか」、「さくらサイエンスプランに申し込むには、具体的にどのようにすればよいのか、応募条件はあるのか」等の質問が散会まで絶え間なく続いた。
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