海外子女教育ニュース

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海外子女教育振興財団の2019(平成31)年度事業計画と 予算が決定─2018年度第3回理事会(2019年5月号)2019.04.16

公益財団法人海外子女教育振興財団は3月22日、経団連会館(東京都千代田区)において2018年度第3回理事会を開催し、19年度の事業計画および収支予算書が承認された。

はじめに小林栄三会長があいさつに立ち、日ごろからの尽力に感謝するとともに、近況と今後の展望について次のように述べた。
◇本財団は職員一同、公益目的事業の役割、責任を意識しながら日々活動している。
◇会費収入に関して、2018年度は目標額を超える見通しとなり、海外子女教育の振興事業を滞りなく遂行できた。19年度については18年度よりも微増となる約4億7300万円を目標とし、運営方法やコストの見直し等、自助努力を続けていく。
◇天皇陛下の退位に伴い、来月には新元号が発表され、30年続いた「平成」がまもなく終わろうとしている。バブル経済崩壊やリーマンショックによる経済不況、阪神・淡路大震災や東日本大震災という数々の苦難を乗り越えながら、企業は生産コストの低減や新たなマーケットを求めて、中国や東南アジアをはじめとする世界の国々へ海外活動を活発化させ、経済活動のグローバル化を進展させてきた。
◇近年では、自国第一主義やEU離脱など、世界の主要国がグローバリズムの流れに逆行するような動きが見られる。実際にはグローバル化の波が止まることはなく、第四次産業革命といわれるAIに支えられた新たなグローバル社会へと変貌を遂げていくものと考えられる。
◇このような世界情勢のなか、日本が持続的成長を遂げるために必要なことは、ますます複雑化した状況を整理したうえで調和のためにとるべき方策を練り、その実現を担い得る真のグローバル人材の育成であると考える。
◇現在、八万人を超える義務教育段階の子どもたちが海外で暮らし、グローバルな視点を培うために最もふさわしい場所で日々勉学に励んでいる。海外から日本を眺め、グローバルな視点や価値観で日本を考えることは、将来の日本を担うグローバル人材に育っていくためにはとても重要である。
◇その視野をさらに広げ、子どもたちが充実した生活、学習を行えるよう、在外教育施設におけるグローバル人材を育成するためのAG5(エージーファイブ)プロジェクトをはじめとする取り組みを引き続き進めるとともに、本財団の活動が真価を発揮できるよう、役職員一同さらに奮励努力を重ねる。
◇海外子女や帰国子女に対する本財団の諸々のサービス機能が十分に発揮され、使命を果たせるよう、維持会員各位のご協力を得ながら、より社会の役に立つ財団を目指す。なおいっそうのご指導ご鞭撻をお願いしたい。

引き続いて議案の審議に入り、中村雅治理事長が一九年度の事業計画等について説明に立った。
19年度の事業計画および予算等は次のとおり。


(1)2019年度事業計画
■公益目的事業1
海外
・帰国子女に対する教育、海外勤務者およびその家族に対する研修、その他の支援
・通信教育(文部科学省補助事業)
帰国後の円滑な学習適応を目的として、義務教育年齢の海外子女を対象にした通信教育「小・中学生コース」を実施する(日本人学校・補習授業校に在籍しない受講生に要する経費に関しては文部科学省より補助がある)。また、「幼児コース」として絵本の配本サービスを実施する(補助対象外)。
・外国語保持教室
帰国子女が海外生活で身につけた語学力を保持するために関東・中部・関西およびWEBで英語とフランス語(関東のみ)のコースを運営する。またサマースクールのほか、講演会や外部機関と連携したワークショップの開催等、受講機会と内容の拡充をはかる。さらに受講生の保護者を対象に進学やキャリア選択につながる講演会や相談会を複数回開催する。
・講習会
海外赴任者やその帯同家族を対象に、出国前の不安を解消し、海外での生活を充実したものとするための講習会「現地校入学のための親子教室」、「渡航前配偶者講座(WEBコース含)」、「赴任前子女教育セミナー」および「渡航前子ども英語教室」を開講する。
・教科書配付(文部科学省依頼事業)
保護者の海外赴任に伴って出国する義務教育年齢の子女に対して、本財団窓口(東京・大阪)で日本の教科書を配付(送付含)する。また、海外から在外公館経由での追加配付申請があった場合も送付する。
■公益目的事業2
日本人学校・補習授業校等に対する運営上および教育上の支援
・教材整備(文部科学省補助事業)
政府援助対象の日本人学校・補習授業校・私立在外教育施設に対して、日本国内の小・中学校の整備基準に準じて、国庫補助金により教材・教具等を手配し送付する。
・教材斡旋
学校独自の予算より購入を希望するワーク・ドリル類、学校備品、補助教材等を手配し送付する。
・保険の斡旋
文部科学省の依頼により創設した政府派遣教員とその帯同家族対象の「医療補償制度」のほか、在外教育施設向けの海外学校傷害保険、海外学校賠償責任保険、海外学校ボランティアサポート保険について、本財団が契約者となり加入の取りまとめ等を行う。
・安全対策援助等
日本人学校・補習授業校を対象に、緊急事態における被害も含め、在籍児童生徒の安全確保を目的とした資金援助を実施する。
・運営支援
日本人学校・補習授業校の運営に関して、教職員の雇用支援、教育活動等への資金援助を行う。また国内の団体が在外教育施設に対して行う教材等の寄贈やコンクール等の広報を支援する。さらにグローバル人材育成や特別支援教育の推進を目的とした在外教育施設への資金援助およびプログラム開発等を行うほか、在外教育施設事務長会議を開催し、学校経営に関する協議、情報の共有化をはかる。
・寄附金の募集
在外教育施設等からの要請に基づき、校舎建設等の資金調達のための寄附金(特定公益増進法人に対する寄附金等)の募集を行う。
・コンクール
海外での日本語学習を促すため、海外子女を対象に文芸作品コンクールを開催する。作文・詩・短歌・俳句の部門において、文部科学大臣賞、各協賛団体賞、海外子女教育振興財団会長賞をはじめとする各賞を授与する。また、優れた作品が多数認められた学校には学校賞を授与する。
■公益目的事業3
海外
・帰国子女教育にかかわる教育相談・情報提供・広報・啓発および調査・研究
・教育相談
在外教育施設や帰国子女受け入れ校での教育経験を持つ専門の教育相談員が、出国前から帰国後までの教育事情や学校選択、特別な配慮を要する子女について等、教育に関する相談に面談・Eメール(WEB)・電話等により対応するほか、企業や学校等の要請に応じて講演会や相談会等を行う。
・情報サービス
海外赴任者やその家族、企業・団体からの問い合わせに対して必要なアドバイスや情報提供を窓口・電話・Eメール等で行う。
・企業・団体会員等への支援
企業・団体が実施する海外赴任者研修等に教育相談員等を講師として派遣し、海外子女教育に関する講演および教育相談を行う。また、海外・帰国子女教育に関するセミナーを開催する。さらに、在外教育施設の基本情報や学費等の調査を行い、その結果を「専用サイト」上で提供、もしくは配付するほか、必要なアドバイスや情報提供を行う。
・帰国子女教育支援
帰国子女受け入れ校による学校説明会・相談会を国内外で開催するほか、教育相談員による海外巡回相談を実施する。また、帰国子女受け入れ校等に対して支援を行うとともに、帰国子女教育に関する学校会員連絡協議会を開催する。
・調査・研究等
海外・帰国子女教育に関する調査・分析や資料等の収集および海外の現地校等の実態調査を実施するほか、海外・帰国子女教育振興のための提言を行う。
・刊行物・資料等配付
各刊行物等を発行・頒布する。

(2)2019年度収支予算
経常収益…11億9722万9千円
経常費用…12億1835万7千円
上記承認されたほか、「資金調達および設備投資の見込みを記載した書類」に関する議案が審議され、すべて異議なく承認された。

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