参加者の声

学校参加校教員
藤原正幸先生
プノンペン日本人学校
中学部主任
(肩書、所属校、学年は2023年3月当時)
2022年4月頃、JOESからの連絡で開催を知った校長から、資料を渡されました。「これは絶対に参加したい」と思いました。 まず、山中伸弥教授が子どもたち向けに話をしてくださるというのが魅力でした。中学の道徳の教科書には山中教授の話が載っていますし、私自身も山中教授の出身地である東大阪の学校に勤務していた経験があって、かねてから勝手に親近感を持っていました。そんな先生の話がライブで聞ける、しかも参加費や交通費がかかるわけではなく、オンライン会議システムさえあればよい。なんてラッキーなんだと思いました。
最初は中学部だけで参加する方向で考えていましたが、要項をよく見ると小5からOKと書いてあります。プノンペン日本人学校は小さな学校で、私も小5小6の社会科を担当しています。ちょっと難しいかもしれないけれどもチャレンジしてもいいのではないかと思い、小5以上みんなで参加することにしました。事前学習として、小5から中3までの各クラスの授業で取り扱ってもらえるように道徳の指導案をまとめ、各担任にそれぞれのクラスで授業をしてもらいました。
基調講演は、カンボジア時間8時半からでした。授業の1,2時間目を充当し、多目的室に大きなモニターを置いて、小5から中3の19人が一緒にライブで視聴しました。
子どもたちは、先生の側から見えているわけでもないのに、いつもと違う雰囲気に緊張しているようで、ちょっとハイになっていました。中3のある生徒は、事前にiPS細胞に関する本を何冊も読んでいて、その内容を興奮気味に話していました。
中2の佐藤君は、事前学習のなかでJOESに送った質問が採用されて、講演後の質問タイムでトップバッターをつとめることになっていました。ハウリング防止のために、彼だけ別室から参加していたのですが、質問してこれで役目が終わりと思っていたら、山中教授から「佐藤君、遠いところからありがとう」と呼びかけられました。さらに「ノーベル賞受賞の前後での生活の変化」についての質問に、山中教授から「受賞前は大学のまわりで飲み歩いたり、羽目を外したりすることもあったけど、それができなくなった。」とユーモアを交えた回答があり、思いがけず会話を交わす形になった佐藤君はとても驚いていました。あとで感想を聞いたら、「とても堅い科学者なのかなと思っていましたが、実際に話すと穏やかな方でした。回答も、まさかお酒の話になるとは思わず、驚きました。先生の面白い一面を知ることが出来て良かった」と言っていました。普段はあまり感情を表に出さない生徒なのですが、あんなに緊張しているところははじめて見ました。彼にとっては、人生を変えるような大きな転換点になったのではないかと思います。講演会の後は前に出て積極的に喋るようになったり、下級生をリードしていくなど、ちょっと変わってきたように思います。
講演を視聴した子どもたち全員が感想文を書きました。A3のプリントがメモでぎっしり埋まっていた子や、「講演は短いくらいだった」と言う子もいました。
基調講演の2日後に、グアム日本人学校とオンラインで結び、一緒に講演の振り返りをしました。JOESがマッチングしてくれたものです。講演を聴いて終わりではなく、「グアムとの交流で何を言おうか」と考えることで、子どもたちの熱量がすぐ下がらず、講演を深く振り返ることができたのではないかと思います。
パート2のグループワークにも参加させたかったのですが、土日などのプライベートタイムに実施となると学校で管理することが難しく、子どもたちに参加を勧めることしかできませんでした。ですから、グアム日本人学校の子どもたちと感想を共有する機会を持てたことは、とてもよかったと思います。グアム日本人学校とは、その後も学校ぐるみで交流が続いています。Davos Nextのおかげで、こういうつながりも生まれました。今後も参加していこうと思っています。