JOES Davos Next への想い

「ダボス会議のキーノート・スピーカー」を育てたい

新しい学びの場をつくる

JOES Davos Next 2022は、「未来世代のための新しい学びの場」を目指して、2022年9月から約4か月にわたって開催されました。世界中の日本人学校の校長がつながり組成された「全世界日本人学校校長会」が主催となり、海外子女教育振興財団(JOES)が運営を担うイベントです。
未来世代というのは、小学校高学年から中学生の世代を指す造語です。高校生・大学生は次世代と呼ばれますが、未来世代はさらに若い、10年後に社会に出ていく世代をイメージしています。
JOES Davos Nextという名称には、「世界各地から参加する子どもたちをダボス会議の基調講演に招聘されるような人材に育てる」という願いをこめました。この学びの場から、ダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)はじめ、世界のリーダーが一堂に会する議論の場に、日本を代表して出席するような人材を輩出したいと考えています。

「未来を創ること」とは

新しい学びの場をつくりたいと考えた背景には、危機感と期待がありました。 世界は今、答えが簡単に見つからない多くの課題を抱えています。その解決のためには、意見の違う人とディスカッションをしながら、ともに考えていく必要があります。
ところが、日本人は正解のない議論をすることが得意ではありません。さらに近年、日本の発信力は低下していっています。
発信力も対話力も、小さい頃、つまり未来世代のうちから実践しないと身につきません。
私たちJOESは、1971 年の創立以来50年以上にわたって、のべ何百万人もの未来世代に対して教育支援を提供し、未来の社会の原動力となる人材の育成にかかわってきました。いわば「未来を創ること」を役割としている私たちJOESが、子どもたちの発信力・対話力を高めるために、何かできないだろうか。そこから、Davos Nextの構想が生まれました。
JOESは教育者ではなく教育を支援する団体です。私たちにできることは、子どもたちの発信や議論の力を伸ばすことができる新しい学びの場の提供と、学び方の提案と、そしてそのための資源の確保だと考えました。50年間の経験と、企業や在外教育施設、国内の学校や関係機関と培ってきたネットワークをもとに、その思いを形にしたのがJOES Davos Nextです。

JOES Davos Next 2023、そして未来へ

「学びの場づくり」には特に長期的な視野が必要です。JOES Davos Nextも、一過性のイベントで終わっては意味がありません。そこで、当初から継続的な開催を計画しています。
第1回にあたるDavos Next 2022では、基調講演にノーベル賞受賞の医学者・山中伸弥教授を迎え、続いてグループワークを実施しました。予想を超える数の未来世代が、時差と空間を越えて熱いディスカッションを繰り広げました。
その成功を受け、私たちはその先へと走りはじめています。次回Davos Next 2023のテーマは地球環境で、基調講演の講師は海洋政策研究者の阪口秀博士です。グループワークの充実にも取り掛かっています。アフリカの子どもたちとつないだディスカッションという新しい試みも計画中です。
未来世代を応援することは、私たち大人の責任であり、大切な社会貢献です。私たちのチャレンジは、まだ始まったばかりです。今後、各界からのご支援を得て、内容もさらに拡充してまいります。
JOES Davos Nextへの応援、そして積極的なご参加をお待ちしています。
公益財団法人
海外子女教育振興財団
理事長
綿引宏行