グループワーク

世界中の日本人の子どもたちによるディスカッション

少人数グループ48、うち英語グループ11

山中伸弥教授による基調講演を受けて実施されたグループワークは、小5から中学生が対象で、世界中から約280名の申し込みがありました。全員に参加希望時間、居住地域、性別、学年を聞き、属性がなるべくバラバラになるように5人程度に分けた結果、48グループが出来上がりました。その各グループに、現役大学生を中心とした正副ファシリテーターを2名配置しました。グループワークはオンライン会議システムZoomを使用したディスカッションです。海外在住中で英語環境の教育を受けている子や帰国後に英語を維持している子どもたちのために、日本語と英語を選べるようにしました。英語使用を希望する参加者は全体の1/4にのぼり、48グループのうち11グループが英語チームとなりました。

■グループディスカッションのしくみ

全4回、最終回で成果動画を作成

グループワークのテーマは「世界の人たちが健康で幸せに暮らすために、私たちができることを考えよう」。山中教授の講演テーマ「夢を叶える力」からつながっているテーマで、子どもたちは自分の夢を通して、世界の課題解決を考えました。 セッションは全4回のオンラインディスカッションで構成されています。初回は顔合わせ、第2回は山中教授の基調講演を受けての感想共有。第3回では、自分の夢をグループ内で発表して、その夢を実現すれば誰のどのような課題が解決できるのか、そしてその課題を解決できるほかの職業はあるのかについて語り合い、各自のワークシートに記入していきました。その後、第4回までの間に、別グループのメンバーにもワークシートを共有して、コメントを記入しあいました。そして最終回となる第4回では、子どもたちが世界の課題解決のために何が自分にできるかを具体的な『明日からの行動宣言』に落とし込んで発表し、それをグループごとの成果動画にまとめました。

「緯度と経度」のワークシートを活用

グループワークを通じて子どもたちが使用したワークシートは、オンラインのディスカッションを補完するものとして開発されました。同じ時間を共有するディスカッションを地球の「経度」に例えると、ワークシートの記入や調査など自分の作業は、時間に制約されない「緯度」にあたります。ディスカッションだけでは単なる交流に終わってしまいがちなところ、ワークシートを記入することを通して、自分の考えを言語化したり、じっくり調べたり、考えたりする時間が生まれました。準備と振り返りができたことで、ディスカッションも深まりました。
また、発言するのが苦手な子が、気後れせずに自分の意見を表明できたという効果もありました。さらに、自分のワークシートに書かれた他者のコメントを読むことで、自分も他者にかかわろうと意識したり、一緒に頑張ろうというモチベーショが高まった子もいたようです。
子どもたちがグループワークで作成したワークシートから、「将来の職業」、「解決したい課題」、「明日からの行動宣言」の部分を抽出し、テキストマイニングにより可視化しました。
※ユーザーローカルAIテキストマイニングによる分析( https://textmining.userlocal.jp/ )

グループワークを支えたファシリテーターたち

海外子女OB・OGが集結 グループワークの運営は各グループに一任されていました。ディスカッションを支えたファシリテーターには、子どもたちをリードしたり指導したりするのではなく、活発な場を生むための雰囲気づくりを要請しました。
ファシリテーターは推薦や公募によって集められた現役大学生・高校生等の約50 人。その多くが、海外で育った経験を持つ帰国子女OB・OG です。さらに、教育を学んでいる大学生や、大学生の海外留学支援をおこなっているNPO法人「グローバルな学びのコミュニティ・留学フェローシップ」との連携によって、海外に留学中の大学生も多数参加しています。子どもたちから見れば、少し年上のお兄さん、お姉さん的存在として、ディスカッションを盛り上げてくれました。2022 年7月にはグループワークのデザインを担当した山本良太さん(東京大学大学院情報学環特任助教)と桑原りささんによる研修が、さらにグループワーク第3回終了後には情報交換会が実施されました。