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公益財団法人 海外子女教育振興財団 2023年度 事業報告

=公益目的事業1 海外・帰国子女に対する教育、海外勤務者及びその家族に対する研修、その他の支援=

 

=公益目的事業2 海外の日本人学校・補習授業校等に対する運営上及び教育上の支援=

 

=公益目的事業3 海外・帰国子女教育に係る教育相談・情報提供・広報・啓発及び調査・研究=

 

=附属明細書=



2023年度(令和5年度)収支決算


=公益目的事業1 海外・帰国子女に対する教育、海外勤務者及びその家族に対する研修、その他の支援=
通信教育(文部科学省補助事業)

  1. 帰国後の円滑な学習適応を目的として、義務教育年齢の海外子女を対象にした通信教育「小・中学生コース」を実施した(日本人学校・補習授業校に在籍していない受講生に要する経費に関しては文部科学省より補助がある。なお、学習指導要領の改訂を機に教材構成をリニューアルした)。国語はブック教材、算数/数学はインターネット教材の提供と添削指導を行い、理科・社会(小学3年生から中学3年生対象)ではインターネット教材を提供した。受講生数は次のとおりであった。
                                              (単位:名)
    受講生数 小学生 中学生 日本人学校 補習授業校 その他(補助対象)
    国語・算数/数学  1,772 1,365 407 170 610 992
    理科・社会 1,060 698 362 91 408 561
    実数 1,848 1,419 429 172 643 1,033
    海外から送付された国語・算数/数学の添削問題解答用紙は、合計6,877件 (小学生5,378件、中学生1,499件)であり、この解答用紙に専門の添削指導者が添削を行い受講生に返送した。また、幼児対象の通信教育「幼児コース」(利用者数434名)を実施した(補助対象外)。なお、2023年度をもって、「国語・算数/数学コース」の提供を終了し、実績のある民間通信教育事業者の教材や家庭で取り組める冊子教材について、海外子女にとっての特長・利点を示し、財団サイト上で受講生及び企業・団体へ案内した。
    また、海外滞在中の保護者を対象にオンラインの講演会を開催(1月)。前年度同様に「多文化の中での子育てで大切にしたいこと」と題し、今井むつみ慶應義塾大学教授より、言語習得過程にある子どもの理解、母語の大切さ等を伝え、約700名の参加を得た。
  2. 外国語保持教室
  3. 帰国子女が海外で身につけた語学力を保持するために、関東地区3か所、中部地区2か所、関西地区1か所及びオンラインコースで、英語及びフランス語の授業を開講。これまで現地校やインターナショナルスクール出身の子どもたちが主な受講生であったが、新たに幼児期や日本人学校出身のお子さんたちを主な対象とした新しいコースを開設した。
  4. 外国語保持教室の地域別の受講生数は次のとおりであった。
                                      (単位:名)
    レギュラーコース等 サマースクール
    関 東

    新宿・愛宕・川崎             443

    首都圏(1日コース)    77  520
    オーストラリア・スタディツアー  中止
    中 部 名古屋・豊田                 231

    名古屋(1日コース) 21

    名古屋(EL・半日)    14
    266
    関 西 大阪          104 大阪       未開催 104
    オンライン                         561 (半日コース)           55 616
              1,339                          167  1,506

また、8月に国際高等専門学校の協力の下、石川県白山市において2泊3日のワークショップを4年ぶりに開催したほか、2月下旬と3月上旬にオンラインで海外在住者を対象とした保持教室事前説明会を開催した。

  1. 講習会
    海外赴任者やその帯同家族(配偶者及び子女)を対象に、出国前及び海外滞在中の不安を解消し、海外での生活を充実したものとするための講習会、セミナーを開講した。開催回数及び受講生数は次のとおりであった。
     
    開催回数 受講生数(申込数) 
    アメリカ現地校入学オリエンテーション(保護者)    オンライン7回        152名
    アメリカ現地校入学オリエンテーション(子ども) 東京3回・名古屋1回・オンライン2回         122名
    インターナショナルスクール入学オリエンテーション オンライン4回       42家族
    メンタルヘルスセミナー オンライン3回       18名
    赴任地別懇談会 オンライン3回       32名
    WEBサバイバル英語 オンライン2回       18名
    渡航前子ども英語教室 東京3回       38名
    赴任前子女教育セミナー オンライン38回    1,691名
    維持会員企業派遣60回      750名
    海外滞在者向けセミナー オンライン3回      750名
  2. 教科書配付(文部科学省依頼事業)
    保護者の海外赴任に伴って出国する義務教育年齢の子女に対して、財団窓口にて日本の教科書を配付(または送付)するとともに、海外から在外公館経由での追加配付申請があった場合も送付した。配付総数は財団窓口配付(送付含)が56,153冊、在外追加配付が1,643冊、配付した児童生徒数は次のとおりであった。
                                      (単位:名)
    渡航後の就学予定先  日本人学校 補習授業校 その他 在外追加送付 
    小学生 3,299 1,604   917

     5,820

    182
    中学生 477 247 153 877 23
    3,776 1,851 1,070 6,697 205


    =公益目的事業2 海外の日本人学校・補習授業校等に対する運営上及び教育上の支援=
  3. 教材整備(文部科学省補助事業)
    日本人学校91校、補習授業校202校、私立在外教育施設2校の計295校に対して、日本国内の小・中学校の整備基準に準じて、国庫補助金(91百万円)を配分し教材・教具等を整備した。
  4. 教材斡旋
    学校の依頼に応じて、学校独自の予算により整備する学校備品、教材・教具、文房具・消耗品類、教科書改訂に伴い必要となる教師用指導書のほか、ワーク・ドリル等の補助教材等を手配し送付した。日本人学校68校・補習授業校147校・私立在外教育施設2校・その他在外校8校の計225校からの斡旋依頼863件に対応。また215件の見積依頼を行った。
  5. 保険斡旋
    ●文部科学省の依頼により政府派遣教師専用に創設した医療補償制度について、海外赴任する在外教育施設の政府派遣教師本人及びその帯同家族を対象に、医療費等に係る保険について財団が契約者となり、1,153家族2,779名の会費徴収等加入事務の取りまとめを行った。
  6. 学校保険については、日本人学校42校・補習授業校11校の計53校に海外学校傷害保険、計2校に海外学校賠償責任保険、計7校に海外学校ボランティアサポート保険の仲介斡旋を行った。
  7. 安全対策援助等
    在籍児童生徒の安全確保を目的として、日本人学校33校・補習授業校11校の計44校に対して15百万円の資金援助を行った。なお、本援助金には2021年に解散した(一社)海外邦人医療基金からの寄附金を引き続き充当した。
  8. 運営支援
  9. ●教員確保(政府派遣教師を除く)について、22校に対して学校採用教員116名の雇用支援を、また23校に対して学校採用教員27名の雇用補助を行った
  10. ●在外教育施設の教職員等に関する求人・求職情報の専用サイト「日本人学校等学校採用教員雇用管理システム」上に在外教育施設による求職情報の掲載並びに登録者の閲覧機能を雇用補助のサービスとして提供した。
  11. ●ベルマーク教育助成財団ほか10企業・団体の図書寄贈やコンクール後援、資料配付、広報等について側面から支援した。
  12. ●在外教育施設における新型コロナウイルス感染症に対する防疫体制を万全なものとし、児童生徒に安全な教育環境を保障するため、文部科学省の2022年度補正予算の事業として「感染症対策支援事業」を実施。日本人学校41校・補習授業校22校・私立在外教育施設2校の計65校に対し11百万円を補助した。
  13. ●財団が在外教育施設向けに提供しているサービスや情報を在外教育施設が利用できる「在外教育施設専用サイト」を運営した
  14. ●日本人学校教師向け研修会として「グローバル教師塾」、補習授業校教師向け研修会として「初任者研修会」、「授業研究会」等を開催、教師の授業実践力を高めるとともに、在外教育施設の教師同士のネットワーク構築を図った。また、日本人学校における財務基盤安定化を目指し、管理職向けの「財務研修」を新たに実施した。
  15. ●選ばれる在外教育施設づくりを進めることを目的とした文部科学省委託事業「在外教育施設重点支援プラン」は2年目となり、計7テーマを推進。在外教育施設32校に対し外部有識者34名と協働で、具体的なアクションプランを作成した。
  16. ●政府派遣教師による現地教育事情等や帰国後の教育実践報告、在外教育施設におけるICTを活用した教育実践事例を収集したほか、在外教育施設で働く教師の魅力や帰国教師の国内外における取組事例を紹介する動画等を作成した。
  17. ●未来世代のための新しい学びの場を提供することを目的としたイベントを開催。2回目となる今回は、@公益財団法人笹川平和財団 海洋政策研究所所長の阪口秀博士による『海の今と未来を考えよう』をテーマにした講演、A海が抱える課題に対して4つのテーマについて、次世代が困らないためのアイデア(ルール)について考えるグループワーク、B世界各地に住む仲間や学校間での交流を楽しむことを通して、連携・協働して学ぶことの重要性を再確認する機会となった交流会を行い、世界各地から在外教育施設の在籍児童生徒等約5,000名の参加を得た。
  18. 寄附金募集
    特定公益増進法人に対する寄附金として、シンガポール日本人学校ほか2校に対する寄附金(特定寄附金)49百万円の受け入れを行った。
  19. コンクール
    海外での日本語の学習を促すために、海外子女を対象とした文芸作品コンクール(第44回)を開催した。作文・詩・短歌・俳句の4部門において前回より4,169点増の28,050点の応募があった。各部門の優秀者には文部科学大臣賞、各協賛団体賞、海外子女教育振興財団会長賞等を、優れた作品が多数認められた学校(20校)には学校賞を授与した。

  20. =公益目的事業3 海外・帰国子女教育に係る教育相談・情報提供・広報・啓発及び調査・研究=
  21. 教育相談
  22. ●在外教育施設や帰国子女受入校での教育経験をもつ専門の教育アドバイザーによる教育相談を実施。更に、相談領域拡大を図るため大手塾・予備校・留学エージェントと連携し、オンライン受験相談や留学相談を実施すると共に、早稲田アカデミーが主催する帰国生向け学校説明会で対面相談を行った。
  23. ●バルセロナ、メキシコ、マナウス、コロンバス、アムステルダムなどの各日本人学校・補習授業校の児童生徒、保護者、進路指導教員を結んでのオンライン巡回相談会を実施した(年間相談件数2,061件)
  24. 情報サービス
    海外赴任者やその家族をはじめ、海外進出企業・団体からの問い合わせに対して、必要なアドバイスや情報提供(赴任先の学校、入学手続き、帰国子女の受入校等)を窓口・電話・Eメール等で行った。財団窓口では、出国前の不安や心配を少しでも軽減していただくことを目的とした対話サービス(希望制)を行った。
  25. 企業・団体会員等への支援
    ●海外人事経験の浅い担当者向けに、海外の学校や教育環境等に関する概要や帰国時の学校選択における留意点等を財団教育アドバイザーが解説する「海外子女教育基礎講座」(223名参加)と、海外子女教育に携わる行政関係者、日本人学校等運営責任者、国内企業人事責任者、財団による海外子女教育におけるそれぞれの役割や取り組みを紹介する「維持会員企業・団体フォーラム」(120名参加)をオンラインで開催。
  26. ●「海外子女教育手当・補助に関する情報交換会」を対面で開催(45社参加)し、人事担当者の交流を兼ね海外子女教育手当や補助規程における課題について、情報交換を行った。
  27. ●3年ぶりに「海外子女教育手当・補助に関するアンケート調査」を実施し、乳幼児〜高校生の帯同子女に対する現地での保育園、ベビーシッターや幼稚園、学校の入学金・授業料、その他学費について各社の補助状況を調査し、結果を冊子にまとめ全会員企業・団体に配付した。
  28. 帰国子女教育支援
    ●海外子女が帰国するにあたり、希望する学校の受入条件や状況が把握できる機会を設けることを目的として、帰国子女受入校による「学校説明会・相談会」を国内1か所、海外2地域・4か所、そしてオンラインで開催した。参加人数等は次のとおりであった。
    1.                               (単位:名)
      名古屋    オンライン   北米(西海岸)  北米(東海岸)
      参加校・団体等  42 136   5   5
      参加人数(名)  260 2,200 340 167
  29. ※西海岸:サンフランシスコ・ロサンゼルス、東海岸:シカゴ・ピッツバーグ

  30. ●帰国子女の受入校や帰国子女教育に積極的に関わる機関に対して支援を行うとともに、帰国子女教育に関する学校会員連絡協議会を東京で開催し、会場参加で41校52名、オンライン参加で18校23名の合計59校75名が参加した。外部有識者の講話のほか、事例発表やパネルトークを通じて学校間の情報共有を行うとともに、帰国子女教育の振興を図った。
  31. 調査・研究等
  32. ●在外教育施設や帰国子女受入校を含め、海外・帰国子女教育に関する調査・分析や図書・資料等の収集を行った。
  33. ●政府や議員連盟等に海外・帰国子女教育振興のための要望事項を伝えた。
  34. 刊行物・資料等配付
    1. 次の刊行物等を発行・配信・頒布した。
    2. 機関誌(WEB版月刊『海外子女教育』は2023年度8月号で終刊、9月からはWEBマガジン「JOES Magazine」に移行し、毎週記事を更新)

    3. 書籍『新・海外子女教育マニュアル』
    4. 書籍『帰国子女のための学校便覧』(年刊)
    5. 書籍『地球に学ぶ』(海外子女文芸作品コンクール作品集・年刊)
    6. 書籍『海外で暮らして〜体験したこと、学んだこと〜』(海外子女文芸作品コンクール35周年記念作文選集)
    7. 書籍『英語ナビ』
    8. 書籍『言葉と教育』
    9. 書籍『サバイバルイングリッシュ』
    10. 書籍『ぬりえ さばいばるいんぐりっしゅ』
    11. 書籍『新・私たちはいかにして英語を失うか』
    12. 出版物『インターナショナルスクールに通うということ』
    13. 出版物『日本人学校に通うということ』
    14. 出版物『母語を育てるということ』
    15. 出版物『海外子女教育手帳』
    16. パンフレット『母語の大切さをご存知ですか?』
    17. パンフレット『現地校入学のために −アメリカ編−』
    18. パンフレット『現地校入学のために −イギリス編−』
    19. パンフレット『帰国に向けて』
    20. パンフレット『お子さんの外国語保持のために』
    21. パンフレット『小さな子どもと送る海外生活』
    22. 日本人学校・補習授業校別パンフレット
    23. 物品『はんかち さばいばるいんぐりっしゅ』