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公益財団法人 海外子女教育振興財団 2024年度 事業報告

=公益目的事業1 海外・帰国子女に対する教育、海外勤務者及びその家族に対する研修、その他の支援=

 

=公益目的事業2 海外の日本人学校・補習授業校等に対する運営上及び教育上の支援=

 

=公益目的事業3 海外・帰国子女教育に係る教育相談・情報提供・広報・啓発及び調査・研究=

 

=附属明細書=



2024年度(令和6年度)収支決算


=公益目的事業1 海外・帰国子女に対する教育、海外勤務者及びその家族に対する研修、その他の支援=
通信教育(文部科学省補助事業)

帰国後の円滑な学習適応を目的として、義務教育年齢の海外子女を対象にした通信教育を実施した(日本人学校・補習授業校に在籍していない受講生に要する経費に関しては文部科学省より補助がある)。小学3年生から中学3年生を対象とする「理科・社会コース」ではインターネット教材を提供。2024年度から新たに小学1・2年生を対象とする「児童書コース」を新設し、絵本・児童書の配本サービスを実施。受講生数は次のとおりであった。
                                        (単位:名)

受講生数 小学生 中学生 日本人学校 補習授業校 その他(補助対象)
理科・社会  379 266 113 34 115 230
児童書 44 44 13 27
実数 423 310 113 38 128 257

また、幼児対象の通信教育「幼児コース」(利用者数374名)を実施した(補助対象外)。

なお、2023年度をもって、「国語・算数/数学コース」の提供を終了し、実績のある民間通信教育事業者の教材や家庭で取り組める冊子教材について、海外子女にとっての特長・利点を示し、財団サイト上で受講生及び企業・団体に案内した。

また、財団サイト上で、家庭での絵本読み聞かせや読書教育を促すことを狙いとするメッセージ動画の配信のほか、海外滞在中の保護者を対象にオンラインの講演会を開催(2回/約1,200世帯申込)。異なる言語・文化で培える感覚を肯定的に捉えるメッセージや、言語習得過程にある子どもの理解、母語の確立の大切さ等を具体的な例を挙げて伝える機会とした。

  1. 外国語保持教室
  2. 帰国子女が海外で身につけた語学力を保持するために、関東地区3か所、中部地区2か所、関西地区1か所及びオンラインで、英語及びフランス語の授業を開講した。
    1. 外国語保持教室の地域別の平均受講生数は次のとおりであった。
                                      (単位:名)
      レギュラーコース等 サマースクール
      関 東 新宿・愛宕・川崎    478 首都圏(1日コース)   93 571
      中 部 名古屋・豊田            280

      名古屋(1日コース) 25

      名古屋(EL・半日)    12
      317
      関 西 大阪          97             未開催 97
      オンライン                        514 (半日コース)           46 560
               1,369                          176  1,545

7月に保持教室卒業生や現役の高校生たちを中心としたアルムナイ組織を立ち上げたほか、3月には会員企業の潟Nボタの協力を得て、子どもたちのキャリア教育の一環として、自身の経験や語学力の価値に気づき、未来への可能性を広げることを目的に、オンラインイベントを実施した(約1,000名参加)。

  1. 講習会
    海外赴任者やその帯同家族(配偶者及び子女)を対象に、出国前および海外滞在中の不安を解消し、海外での生活を充実したものとするための講習会、セミナーを開講した。開催回数及び受講生数は次のとおりであった。
     
    開催回数 受講生数(申込数) 
    アメリカ現地校入学オリエンテーション(保護者)    オンライン7回        488名
    アメリカ現地校入学オリエンテーション(子ども) 東京3回・オンライン2回            94名
    インターナショナルスクール入学オリエンテーション オンライン4回        205名
    日本人学校オリエンテーション オンライン6回      424名
    海外生活適応オリエンテーション オンライン7回      267名
    メンタルヘルスセミナー オンライン2回       18名
    赴任地別懇談会 オンライン3回       23名
    渡航前子ども英語教室 東京1回・オンライン2回       46名
    赴任前子女教育セミナー オンライン38回・対面2回     1,535名
    維持会員企業派遣58回      690名
    海外滞在者向けセミナー オンライン3回     883家族
  2. 教科書配付(文部科学省依頼事業)
    保護者の海外赴任に伴って出国する義務教育年齢の子女に対して、財団窓口にて日本の教科書を配付(または送付)するとともに、海外から在外公館経由での追加配付申請があった場合も送付した。配付総数は財団窓口配付(送付含)が51,146冊、在外追加配付が2,054冊、配付した児童生徒数は次のとおりであった。
                                               (単位:名)
    渡航後の就学予定先    日本人学校     補習授業校     その他    在外追加送付 
    小学生 2,924 1,533   831

     5,288

    201
    中学生 427 236 132 795 79
    3,351 1,769 963 6,083 280


    =公益目的事業2 海外の日本人学校・補習授業校等に対する運営上及び教育上の支援=
  3. 教材整備(文部科学省補助事業)
  4. 306校の在外教育施設(日92・補208・私6)に対して、国庫補助金89百万円を配分し教材・教具等を整備した。
  5. 教材斡旋
  6. 在外校が学校予算より購入するワーク・ドリル類、デジタル教材、学校備品、補助教材、教師用指導書等を斡旋した。
  7. 日本人学校66校・補習授業校144校・私立在外教育施設2校・その他在外校10校の計222校からの斡旋依頼1,088件に対応。また241件の見積依頼に対応した。
  8. 保険斡旋
    ●文部科学省の依頼により創設した政府派遣教師とその帯同家族を対象とする医療補償制度について、財団が契約者となり1,120家族2,481名の会費徴収等加入事務の取りまとめを行った。
  9. 海外学校保険について、傷害保険に54校(日42・補12)、賠償責任保険に2校(日1・補1)、ボランティアサポート保険に7校(日2・補5)の斡旋を行った。
  10. 安全対策援助等
    在籍児童生徒の安全確保を目的として、日本人学校40校・補習授業校17校・日補連名1校の計58案件に対して11百万円の資金援助を行った。なお、本援助金には2021年に解散した(一社)海外邦人医療基金からの寄附金を引き続き充当した。
  11. 運営支援
  12. ●学校が雇用する教員の採用支援について、学校採用教員雇用支援プログラムをとおして28校95名、学校採用教員雇用補助サービスをとおして23校47名の雇用支援を行った。
  13. ●ベルマーク教育助成財団ほか10企業・団体の図書寄贈やコンクール後援、資料配付、広報等について側面から支援した。
  14. ●ICT環境整備のため、次の2つの文部科学省補助事業を実施。1人1台端末整備事業として63校(日62・私1)に対し199百万円、ICT支援員配置支援事業として日本人学校14校に対し41百万円を補助した。
  15. ●財団が在外教育施設向けに提供している「在外教育施設専用サイト」を運営した。
  16. ●2022年度より5年間の委託を受けた選ばれる在外教育施設づくりを進めることを目的とした文部科学省委託事業「在外教育施設重点支援プラン」については、2024年度は事業折返しの重要な年として、引き続き7つのテーマについての研究開発を推進した。
  17. ●グローバル人材の育成が課題とされている日本の教育のさらなる質の向上に資することを目的とした文部科学省委託事業「帰国教師ネットワーク構築事業」については、国内外への効果的な情報発信を目指して「グローバル教師ポータルサイト」の改修を実施。併せて在外教育施設で働く教師の魅力を発信する動画を作成し当サイトに掲載。加えて、派遣教師の増加につなげるよう、教育委員会、全国海外子女教育・国際理解教育研究協議会及び地方組織、財団との共催で、派遣教師になることの魅力や在外における貴重な経験、帰国後に役立っていることなどについて意見を交わすパネルディスカッションを実施した。
  18. ●未来世代のための新しい学びの場を提供することを目的に「Davos Next2024」を開催。3回目となる今回は、山崎直子宇宙飛行士による『宇宙から考える地球の問題』をテーマにした講演、及び「今、世界や宇宙にはどのような課題があり、どのように解決したらよいか」、「解決できた先にどのような未来を創りたいか」について考えるグループワークを行い、世界各地から個人及び在外教育施設の在籍児童生徒等24,000名を超える申し込みがあった。
  19. ●海外で暮らす子どもが直面する「自分は何者なのか」という、自らのアイデンティティに関する問いや悩みに対する答えを探す糸口として、「自分らしさ」について考える場を提供することを目的に、海外子女・帰国子女を中心とする児童生徒を対象に、「アイデンティティフォーラム」をはじめて開催。今回は元外交官で儀典長や京都国際会館館長等を歴任された中村順一氏を講師に迎え、オンラインで講演を行った。テーマは『日本人らしさとは?』。世界各地から2,000名を超える参加申し込みがあった。
  20. 寄附金募集
    特定公益増進法人に対する寄附金として、ニューデリー日本人学校ほか6校に対する寄附金(特定寄附金)174百万円の受け入れを行った。
  21. コンクール
    海外での日本語の学習を促すために、海外子女を対象とした文芸作品コンクール(第45回)を開催した。
  22. 作文・詩・短歌・俳句の4部門において前回より1,770点増の29,820点の応募があった。
  23. 各部門の優秀者には文部科学大臣賞、各協賛団体賞、海外子女教育振興財団会長賞等を、優れた作品が多数認められた学校(20校)には学校賞を授与した。

  24. =公益目的事業3 海外・帰国子女教育に係る教育相談・情報提供・広報・啓発及び調査・研究=
  25. 教育相談
  26. ●在外教育施設や帰国子女受入校での教育経験をもつ専門の教育アドバイザーによる教育相談を実施(年間相談件数1,964件)。
  27. ●相談領域拡大を図るため大手塾・予備校・留学エージェントと連携し、オンライン受験相談を実施すると共に、メンタルヘルス専門家と連携し、「こころの相談」を開始した。
  28. ●バルセロナ、マナウス、プラハ、アスンシオンなどの各日本人学校の児童生徒、保護者、進路指導教員を結んでのオンライン巡回相談会を実施した。
  29. 情報サービス
  30. 海外赴任者やその家族をはじめ、海外進出企業・団体からの問い合わせに対して、必要なアドバイスや情報提供(赴任先の学校、入学手続き、帰国子女の受入校等)を窓口・電話・Eメール等で行った。
  31. 財団窓口では、出国前の不安や心配を少しでも軽減していただくことを目的とした対話サービス(希望制)を行った。
  32. 企業・団体会員等への支援
    ●海外人事経験の浅い担当者向けに、海外の学校や教育環境等に関する概要や帰国時の学校選択における留意点等を財団教育アドバイザーが解説する「海外子女教育基礎講座」をオンラインで開催した(206名参加)。
  33. ●海外子女教育に携わる行政関係者、日本人学校等運営責任者、財団による海外子女教育における取り組みを紹介する「維持会員企業・団体フォーラム」をオンラインで開催した(45名申込)。
  34. ●「海外子女教育手当・補助に関する情報交換会」を名古屋、東京で開催し、人事担当者の交流を兼ね海外子女教育手当や補助規程における課題について、情報交換を行った(計62社参加)。
  35. ●日本在外企業協会との共催による「海外派遣の基礎知識」セミナーをオンラインで開催した(企業団体関係者174名申込)。両団体の会員ではない海外進出企業・団体に対し、それぞれの活動を広く周知する目的で企画した。
  36. 帰国子女教育支援
    ●海外子女が帰国するにあたり、希望する学校の受入条件や状況が把握できる機会を設けることを目的として、帰国子女受入校による「学校説明会・相談会」を国内3か所、海外2地域・11か所で開催した。参加人数等は次のとおりであった。
    1.                              (単位:名)
      東 京   名古屋   大 阪  アジア 北 米  
      参加校・団体等  158 56   70

        13

        12
      参加人数(名)  1,010 360  290  1,179

       359

  37. ※アジア: ソウル、台北、ホーチミン、バンコク・シラチャ・ニューデリー

  38. ※北米: サンフランシスコ・ロサンゼルス・ニューヨーク・コロンバス・シカゴ

  39. ●帰国子女の受入校や帰国子女教育に積極的に関わる機関に対して支援を行うとともに、帰国子女教育に関する学校会員連絡協議会を東京で開催し、会場で37校45名、オンラインで15校15名が参加した。テーマ別の分科会を通じて学校間の情報共有を行うとともに、帰国子女教育について協議した。
  40. 調査・研究等
  41. ●在外教育施設や帰国子女受入校を含め、海外・帰国子女教育に関する調査・分析や図書・資料等の収集を行った。
  42. ●政府や議員連盟等に海外・帰国子女教育振興のための要望事項を伝えた。
  43. 刊行物・資料等配付
    1. 次の刊行物等を発行・配信・頒布した。
    2. WEBマガジン「JOES Magazine」(毎週記事を更新)

    3. 書籍『新・海外子女教育マニュアル』
    4. 書籍『地球に学ぶ』(海外子女文芸作品コンクール作品集・年刊)
    5. 書籍『海外で暮らして〜体験したこと、学んだこと〜』(海外子女文芸作品コンクール35周年記念作文選集)
    6. 書籍『英語ナビ』
    7. 書籍『言葉と教育』
    8. 書籍『サバイバルイングリッシュ』
    9. 書籍『ぬりえ さばいばるいんぐりっしゅ』
    10. 書籍『新・私たちはいかにして英語を失うか』
    11. 出版物『インターナショナルスクールに通うということ』
    12. 出版物『日本人学校に通うということ』
    13. 出版物『母語を育てるということ』
    14. 出版物『海外子女教育手帳』
    15. パンフレット『母語の大切さをご存知ですか?』
    16. パンフレット『現地校入学のために −アメリカ編−』
    17. パンフレット『現地校入学のために −イギリス編−』
    18. パンフレット『帰国に向けて』
    19. パンフレット『お子さんの外国語保持のために』
    20. パンフレット『小さな子どもと送る海外生活』
    21. 日本人学校・補習授業校別パンフレット
    22. 物品『はんかち さばいばるいんぐりっしゅ』