海外学校関係者の方

教育活動等援助 過去の援助実績

エルパソ補習授業校(平成17年度)

(1)学校名 エルパソ日本語補習学校
(2)責任者名 校長 和田育郎
(3)担当者名 村上保子
(4)事業の名称 「ゲームを休み本をじっくり読もう---ARの実施」 ※AR・・・(10)参照
(5)事案の概要 海外で生活しているとどうしても活字離れが起こってくる。また、漢字が嫌い・作文が嫌いと生徒たちはいつも言う。このような状態を少しでも解決るために読書を推奨した。ただ、読書は生徒にとって一番苦手とするものである。少しでも本を読むきっかけを作るために「AR読書」を実施した。また、新刊書や学級文庫を多数揃え、読書意欲を盛り立てた。感想文をテスト代わりとし、先生やボランティアの方に感想文の添削依頼をし、合格するとポイントが増えていく仕組みを作った。幼稚部や低学年には、読書の習慣作り・字の練習にとても効果的だった。また、幼稚部の親による読み聞かせは、親子のスキンシップの一環として保護者から好評であった。7ヶ月の間に幼稚部は、2193冊、小学部は、454冊読破することができた。終了式上で各学年の最多読生徒に「読書賞」と記念品を授与した。
(6)実施時期 平成17(2005)年9月 〜 平成18(2006)年3月完了
(7)経費確定額 額 101,791円
(8)成果物
子どもたちのAR読書用感想文
ポイント表に貼る生徒の名札見本
先生の感想
読書カード
(9)写真等

朝の10分読書の様子

各本のポイントを設定
(数字が大きいほど内容が難しい)

テスト感想文集

ARプログラムにについて ARとは、Accelerated Reader の略で、本を迅速に且つ、正確に内容を把握するということである。これは集中力を養うと共に読解力もつくので、ほとんどの現地小学校はこのプログラムを取り入れている。強制的とまではいかないが,半強制的に全員が参加しなければならない。現地校に通う多くの日本人生徒たちも参加している。
残念なことに、在籍する学年レベルの本を読むことは、日本人生徒にとってとても大変なことであるが、この「ARプログラム」は全学年共通なので、日本人生徒はレベルを下げたポイントの低い本からたくさん読み、ポイントを上げていっている。
ARポイント拾得者の上位ランクに日本人生徒の名前を見ることも少なくない。現実、日本語の本を読むことより現地の本を読むことに力を注ぐ保護者も多い。

●一般的な「ARプログラム」の実践方法
アメリカは、Readingにとても力を入れており、政府は多額のお金を費やしている。
専門家が図書本一冊一冊を対象とした「AR」用のテスト問題を作りソフト化され、各小学校どこに行っても同じような問題がコンピューター上で受けられ、即正誤が分かるような仕組みになっている。また、学校によっては、教師が作成したARテストもある。
現地校の各クラスには「ARテスト」ようのコンピューターが一台設置されている。
また、図書室には何台ものコンピューターが設置されており、Reading Timeや昼休みに図書室に訪れた生徒たちは、いつでも「ARテスト」を受けることができる。
コンピューター上のテストは添付1のようなものである。
幼稚園は、まだ字が読めないので添付2のような読書カードで「ARプログラム」に参加している。(ほとんどのアメリカの公立小学校は、幼稚園が一緒に設置されている)
一定期間「AR」が実施されると、教師は保護者にAR Reportなる物を送り、保護者は、自分の子供がどのくらいの本を読み、どのくらいの理解をしているかを知ることができる。
添付3のようなReportである。(学校によってカード様式に違いはあるが、内容は同じような物である)

●当校における実践方法
当校は、週に一度の補習校であり、教師は他に本業を持つものばかりで構成されてる。
したがって、現地校で行われているようなテストを作成するのは時間的に無理であるので、生徒に読書感想文や内容をイメージする絵を書かせた。
高学年は教師が生徒に内容を聞き、誤字脱字をチェックした後、教師判断でOKを出すことにした。低学年に関しては、読まれている本の内容が周知であるので、ボランティアに内容チェックをしてもらいOKを出すこととした。
幼稚園に関しては、保護者が幼児に本を読み聞かせるということで、読んだ本を読書カードに記入してもらいOKとした。

●実施を終えての反省
1.幼稚園、低学年には、良い意味での競い合いがあり、たくさんの本を読むことができ字も学ぶことができたので、本事業が成功に終えたと確信する。また、教師も自分自身が本の内容を知らばければ採点の仕様がないので、生徒が提出した感想文の本が未読場合は、率先して読み教師自身のレベルが上がった。ただ、時間が無く現地校のようなテスト問題が作成できなかったのが残念である。 このプログラムは終了したが、時間を掛けて少しずつでも一冊一冊の問題を作成したいと思った。
2.高学年、中学生の読書欲の無さにショックを受けた。それと共にこれらの生徒の保護者の日本語に対する関心の薄さを改めて痛感した。 また、3年後、5年後などに本帰国となった時、この子たちの日本語は大丈夫なのだろうか、日本の学校で対応できるのだろうかと言う不安に苛まれた。
3.提案として
財団が中心となり、日本版ARテスト問題を作成してはどうかと思う。一人でたくさんの本の問題を作成するのは不可能に近いが、全世界の教師に声を掛け、一人に一冊あたりで問題を作成してもらって財団が管理する。生徒は読書を楽しみ、コンピューター操作も小さい時から楽しむことが出来ると思う。
財団援助額 80,000円