海外学校関係者の方

在外教育施設事務長会議 2015年度開催内容 分科会@A-日本人学校・中規模校<8月6日(木) @13:30-15:00 @15:10-16:40>

講演の内容を受け、学校・規模別の4グループにわかれて協議

◆財政上の問題
◆学校財政と会計基準
◆教員の確保
◆派遣教員
◆シニア派遣の教員
◆事務局での業務(授業料に関すること)
◆安全対策(ISなどのテロ活動を受けて)

財政上の問題

  • 財政的には今のところ問題はないが、派遣教員の減少によるコスト増により今後は3年ごとに授業料を上げていくことが必要になる。
    ・ 寄附金と施設費を積み立てており、派遣教員の割合も高いため財政的には問題ないが、今後、学校採用教員が増えてくると授業料を増やすことも検討。
  • 過去は赤字であったが、借地料が今年からゼロになったこともあり財政的には黒字に戻ることを見込んでいる。
  • 児童生徒数が予定よりも少なくなったため若干の赤字。
  • 1学期の児童生徒数が予定よりも少なかったため多少の赤字になったが、2学期からは児童生徒が多少増える予定なので元に戻る予定である。多少の赤字は出たが積立金があるので特に問題は起きていない。授業料を上げる予定は当面はない。
  • 財政的には現在のところは問題なく、設立から11年経つが授業料についての変更は今のところ一度もない。寄附金の積み立てが十分(約5億円)あるが、派遣教員の比率が小さいため今後の人件費をどうしていくかは課題である。
  • 校舎を確保するために約5億円を積み立てておく必要があったが現在では約7億円まで増えている。派遣教員の減少などもあり財政的には厳しい状況であったが商工会議所から一定の補助を得ることで財政は健全化している。ただ、派遣教員に伴う問題は続いており教員の確保が課題である。幼稚部は赤字であるので今後どのように財政状況を改善していくべきか要検討。
  • 予想以上に赤字になる見込みであり、大きな原因となるのは幼稚部。保育料のみで運営しているが、今後については検討中。小学校・中学校も財政が良好とはいえないので授業料を増やすことを検討。日本人会との連携について上手くいっているとはいえないので今後どのようにしていくべきかも要検討。
  • 幼稚部については別組織ではあるが財政状況は良好である。
  • 幼稚部の経営については学校によって黒字と赤字が分かれているため、学校間で連絡や情報共有していくことで財政上の問題解決を図っていきたい。 ・ 昨年は黒字だったが今年は昨年ほどの黒字にはならない予定(州から補助金は出るが建設用にしか使用できないため実態は外面上ほど豊かではない)。保護者が授業料・教材費(約5万円)以外に負担するものはない。建設費以外にも州から補助金は出ているが週5時間は現地語の授業を行う必要がある。州からの補助金で財政上は非常に助けになるが、現地語の授業が必須になり、休日の設定なども州の許可がいる場合があるなど制約も多く手間がかかる面もある。
  • 寄附金については新規で進出する企業が少なくなってきているため、個人からの寄附金がほとんどである。

学校財政と会計基準

  • 派遣教員以外の教員の確保はビザ取得の関係できわめて難しい。
  • 学校採用教員は9名で採用倍率は60倍程度であり、給料については派遣教員と同等にしている。学校の希望としては日本で働いている、もしくは働いたことのある先生を採用したい。
  • 財団支援の教職員採用で新卒を5名、また数名は現地に永住している日本人を雇用している。学校に法人格がないためビザについては外務省の協力を得て公用旅券を取得している。
  • 派遣教員16名に対して学校採用教員が13名である。法人格は取得したが諸事情により引き続き外務省協力の下で公用旅券を取得。
  • 派遣教員15名に対して学校採用教員が15名であり、その内10名は財団支援、5名が現地での直接採用である。仕事については派遣教員も財団採用、直接採用の教員もまったく同じである。
  • 派遣教員18名に対して学校採用教員が12名である。新卒の採用はビザの関係でできないなどの制約がある。現在、10年間働いている教員が最長である。費用については円安のおかげで財政上の問題は今のところ発生していない。
  • ビザの関係で財団支援の教員採用はきわめて難しく、国の事情で現地での雇用を推奨している状況もあり日本人の雇用自体が制限されている。そのため学校採用の教員は全て現地人で英語もしくは実技系の科目の教員である。派遣教員が実際には現地に赴任できなかった場合もあり、教員確保については今後かなりの危機感を抱いている。
  • 派遣教員は13名で学校採用教員については公募しており、倍率は10倍程度となっている。学校の希望としては現地で近郊に在住の人材を望んでいる。また、財団の採用支援で他の日本人学校を経験した先生に来ていただいたが非常に優秀である。財団の採用支援では優秀な先生に来ていただけるが費用が問題となっており、どの程度の人数を採用するかについては要検討。待遇については学校採用の先生の待遇が派遣教員よりも低くなっているが仕事面であまり差がないなどの問題があったため、学校採用には担任をさせないなどの調整を行っている
  • 派遣教員は13名で学校採用の教員は8名である。学校採用教員については女性が多い。今年度は児童生徒数が増えたがクラス数を増やすほどではないのでTT要員の募集を始め、すでに数名の応募があった。学校の希望としてはビザ取得が厳しくなってきているので学校の近郊に住んでいる人材を採用したい
  • ビザについては同じ国の中でも地域によってかなりの差があるが、日本企業への信用が高い地域では約1.5万円程度で即日にビザを発行できる。また、学校採用教員については派遣教員に男性が多い傾向にあるので女性を意識して採用するようにしている
  • ビザについては年々厳しくなってきており、現地での健康保険加入についても併せて厳しくなっている。特に幼稚園の先生は大卒ではないこともあり、ビザ取得に際して実際に問題が起こったことがある

派遣教員

  • 派遣教員が増えたというアナウンスがあったがプノンペン日本人学校が増えたためであったようで既存校への増員については聞こえてこない
  • 派遣教員については文部科学省への交渉が必要である。実際に増員してもらうことは難しいが事務長だけでなく校長からも継続して文部科学省へ交渉することが必要だと感じる。複数の学校から上記と同様の発言があった。

シニア派遣の教員

  • 小学校の元気な児童をまとめるには体力面の不安などもありシニア派遣の教員の方には担任をお願いするのは厳しい方が多い。しかし、管理職での派遣ではないため、担任をお願いせざるを得ない状況がある。
  • シニア派遣の教員は直近では校長や教頭といった管理職であり、実際に担任をもっていたのは10年以上前の方が多いため担任をお願いするには不安がある。
  • 実際にシニア派遣の教員が、全日制の学校で担任をもった際にクラスをまとめきれず、保護者からのクレームに繋がったケースも出てきている
  • シニア派遣の教員でも担任を任せられるような方もいるがほとんどいないのが現状である
  • パソコンを使えないシニア派遣の教員もおり、パソコン操作を覚えていただくのが厳しい場合もある
  • 任期が今年度までのシニア派遣の教員がいるが、更新をする予定はない
  • シニア派遣の教員にかかるコストを学校採用教員の補助にあててもらうほうが学校としては助かる

事務局での業務(授業料に関すること)

  • 築34年の校舎に発生した不具合に対応するため、中長期計画を作成。毎年見直しをしながら進めていく。
  • 詳細な計画はない。他校の例を見ながら検討している。予算は5年先を見て作成している。
  • 昨年の欧州地区事務長会議にて他校の中長期計画が大変参考になった。本校でもきちんとしたものではないが、校舎改修等の計画を立てて行っている。
  • 校舎改修の計画は事務局、校長が立て、建物を管理し現場を熟知している管理人には業者への相見積もり等の相談や、校舎補修のアドバイス・サポートをしてもらっている
  • 具体的な中長期計画はない。2001年に完成した現校舎、建物の持ち主は日本人会だが、土地は25年リース(一括払済)。2025年の契約更新時のリース代の値上げが心配
  • 中長期計画はない。理事会承認もなく、事務長が自分なりに3〜4年後の計画を作成し進めている。先のことは予測不可能。借地料の更新や15年予定の新校舎建設などを盛り込んで計画を作成
  • 急な事故、児童生徒の減、派遣教員の減数など今後どうなるのか、また、今後の所在国の動向や10年先も不透明。今後予想される大きな出費は何かを考え、それに対し資金をどの程度準備しておけば良いのか、早急に決めなければならない
  • 校舎家賃契約が6月末で切れた。7月より約55%の家賃値上げを大家から提示され、現在も交渉中。家賃値上げや今後の補修工事等の出費に備え、授業料の値上げ幅による資金確保の予測計画を作成

事務局での業務(授業料に関すること)

  • 授業料の照合が難しい。補習授業校では入学する子どもの人数によって割引をもうけているためさらに難しくなっている。
  • 自動引き落としを増やすことで授業料照合の手間を減らすようにしている
  • 自動引き落とし手続きが地域の事情で複雑化してきているので、自動送金に切り替えた。その際には確実に手続きができるように銀行に持っていく雛形を学校側で作成し提供している。
  • 学校で所定の入金票を作成しており、入金票を持って銀行にいっていただくようにお願いしている。その後、銀行から入金用紙が送られてくるので、その用紙をもとに照合を行う。なお、子どもの人数による割引はない。入金が確認できない場合、毎週リマインダーを送ることで授業料の未収をなくすよう努めているが、それでも未収になるケースはある。
  • 入金方法については特別なことはしておらず、照合についても手間はかかっているが大きな問題はない。授業料の未収については延滞料を課すことで回収状況を良くしている。
  • 地域の銀行の事情で入金確認する際に送金者の氏名がわからないケースがあるため、現金もしくは小切手にて授業料を回収している。授業料の未収を防ぐために延滞料金を設定しており、3か月授業料を支払わない家庭については出席停止などの対応も行っている。また、保護者会や授業参観などで学校に当該の保護者が来た際にも必ず対応するようにしているが、支払わないまま日本に帰国するなど未収になるケースがある。

安全対策(ISなどのテロ活動を受けて)

  • ガードマンを登下校時に配備するようにし、学校ウェブサイトへ掲載する情報から住所情報などを除いた。
  • 24時間警備をしておりガードマンは拳銃を所持している。また、在外公館から指示があり、爆弾のチェックや監視カメラの配置などを見直した。不審者対策の避難訓練も実施している。
  • 地区の警察とのミーティングを行っており、1日1回は警察に学校周辺のパトロールをお願いしている。
  • 玄関に静脈認証を導入し、登下校の際は見送りをするようにしている。不審者用の避難訓練を実施し、ウェブサイトから学校の住所情報の掲載を中止。
  • 教室に入るためには拳銃程度では破壊できない3種類の特別な鍵を作成し、合鍵は一切作らないなど徹底した管理をしている。玄関にはモニター付のアクセスコントロールをつけ、校内に入るためにはIDカードが必要。保護者と教員の連絡網を作成し、緊急時には連絡の一斉送信が可能。また、校内放送システムを充実し、校内放送と同時にロックダウンを可能にする仕組みを作っている。監視カメラの導入や警察との連携、不審者対策の避難訓練も実施している。
  • 児童生徒がいる時間は常時ガードマンが6名、いないときはガードマンが3名いる。赤外線センサーも設置し、登下校時には白バイ警官が学校周辺をパトロールするようになっている。不審者対策の避難訓練も実施している。テロよりも不審者対策に重きをおいている。
  • 監視カメラを13台にし、パニックスイッチ(緊急ボタン)を設置する対策を行っているが、テロよりも不審者対策に重きをおいている。
  • カメラ付のインターホンをつけており、保護者には入校用のチップを渡している。監視カメラは門と幼稚園に設置している。ウェブサイトに掲載している情報は住所などを制限している。警察との連携は密にしているが、警察からはテロについては警察に通報して逃げることを最優先という指導を受け、また、テロよりも不審者対策に重きをおいたほうが良いとの意見をもらい不審者対策用の避難訓練を実施している。

以上