海外子女教育ニュース

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帰国子女教育を考える会、第78回研究例会を開催(2018年7月号)2018.06.20

「帰国子女教育を考える会」は4月21日、奈良教育大学(奈良市)において「グローバル人材育成を考える」を主題にした研究例会を行った。奈良教育大学教授の渋谷真樹氏と大阪成蹊大学専任講師の芝野淳一氏がそれぞれ発題し、約20人が参加した。
同会は、おもに関西圏で帰国生の支援を行っている教育相談員や企業の人事担当者、帰国生受け入れ校の関係者や保護者等が1990年に設立したネットワーク。
はじめに、昨年、海外子女教育振興財団が文部科学省より受託した「在外教育施設の高度グローバル人材育成拠点事業」(AG5)の中心メンバーでもある渋谷氏が「グローバル人材育成を考える──AG5とIBを中心に──」というテーマで発題した。まず「グローバル人材とは」に関して、グローバル人材育成推進会議の中間まとめを引用しつつ、自身の英国留学経験も踏まえて見解を語った。さらに経済界から「グローバル人材の育成は重要で、そのためには国際的な教育プログラムであるIB(国際バカロレア)が有効であり、その資格取得者が社会で適切に評価される必要がある」と指摘されている点を紹介し、「現在、国内におけるIB認定校は四十六校で、国が掲げる『2018年度までに200校』という目標の実現は困難ではあるが、IB認定校は着実に増えている」と述べた。
また「AG5」は在外教育施設をグローバル人材育成の拠点にすることを目指していると話し、自身が担当する「補習授業校における日本語能力向上のための総合的なプログラム開発」において、「北米の補習授業校と連携し、国語科と社会科の合科的実践等に意欲的に取り組んでいる」と報告した。
続いて、グアム日本人学校とグアム補習授業校の研究を行っている芝野氏が自身の在米経験に触れながら、グローバル人材育成の担い手としての教員の役割について問題提起を行った。文部科学省が「トビタテ!教師プロジェクト」など在外教育施設を活用したグローバルな教員の養成を試みていることを紹介し、「グローバル人材育成にはグローバルな教員の養成が必須」と述べた。一方、国から打ち出される「グローバル人材育成戦略」からはエリーティズム(優越意識)・ナショナリズム(国家主義)・ネオリベラリズム(新自由主義)の志向性が垣間見られ、多文化主義的な色合いの薄さが懸念されると指摘。そのうえで教員の経験に基づくボトムアップのグローバル人材育成およびグローバル教員の養成のあり方をあらためて模索する必要があるのではないかと提言した。
加えて、芝野氏が2012年から継続して行っているグアム日本人学校の教員への聞き取り調査において、「在外教育施設での教職経験が多文化主義的なグローバル教員養成に有効だと思われる結果が示されている」と話し、派遣教員への派遣前および帰国後のより丁寧な研修や配慮が必要であると述べた。
質疑応答では、「IBの日本語ディプロマは海外で通用するのか」「IB認定校になるメリットとは何か」「今後、AG5は連携する対象校を広げていくのか」等の質問が次々に出され、盛況のなか駆け足での閉会となった。

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