海外子女教育ニュース

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第39回海外子女教育セミナー開催(東京学芸大学国際教育センター)(2018年7月号)2018.06.20

東京学芸大学国際教育センターは5月26日、同センター(東京都小金井市)で「在外教育施設におけるグローバル人材の育成と派遣教員の役割」をテーマに海外子女教育セミナーを行った。
2つの講演のほか、4人の元派遣教師による実践報告やパネルトークも行われ、派遣を希望する教師等を中心に約50人が参加した。
同セミナーは在外教育施設の教育に関心のある人を対象に、教師派遣の仕組みや在外教育施設での教育、派遣教師の役割等について助言することを目的としている。
同センター長の馬場哲生氏の開会の挨拶に続き、文部科学省初等中等教育局国際教育課海外子女教育専門官の小林美陽氏が「在外教育施設の現状と課題──グローバル人材育成への期待と支援策について」講演した。
海外子女教育は「日本国民にふさわしい教育を行うとともに、併せて国際性を培うこと」を目的とし、在外教育施設は「海外に在留する邦人団体が共同で設立した教育施設」であると述べたうえで、日本人学校・補習授業校それぞれの特色について説明した。教師派遣や安全対策費援助など国が行っているさまざまな支援に関して紹介するとともに、児童生徒・保護者のニーズの変化や現職教師の派遣人数確保等を課題に挙げた。
さらに、グローバル教師育成支援の施策である「トビタテ!教師プロジェクト」や帰国した教師が幅広く活躍できるような「帰国教師ネットワーク構築事業」について解説したほか、同じく「在外教育施設の高度グローバル人材育成拠点事業」における香港日本人学校での取り組みや、シンガポールとドーハの日本人学校で行われている特色ある取り組みを具体的に紹介し、今後の展望に期待した。
次に、海外子女教育振興財団の中村雅治理事長が「これからの派遣教員の役割 グローバル人材の育成に向けて」と題した講演を行った。まずグローバル人材について、情報のみならず「気持ち」も共有できるコミュニケーション力が必要とし、海外に拠点を置く企業が在外教育施設に対し、グローバル人材の育成をいかに望んでいるかを語った。海外駐在員の数は増えているにもかかわらず、赴任先の偏在化やインターナショナルスクール・現地校および塾志向等が日本人学校離れを生んでいると解説。他方で永住予定の児童生徒の入学は増加傾向にあり、子どもの多様化で学級経営が困難になっているケースも見られると現状を説いた。さらに日本国内の学校との違いを説明し、在外教育施設は「グローバル人材育成」の拠点になり得ると話し、教師の役割は重要だと述べた。
そして派遣教師に向け、「赴任国の特性を生かした実践でグローバル人材の育成を!」「外国語(特に英語)でコミュニケーションを取れるグローバルな教師に!」「帰国後はグローバル人材育成の推進役に!」と希望を語り、・Challenge your future!・とエールを送った。
その後、前コタキナバル日本人学校教諭の秋田美紀子氏、前モスクワ日本人学校教諭の柴生彰氏、前アスンシオン日本人学校長の田口克敏氏、前香港日本人学校小学部香港校長の樗木昭寿氏がそれぞれ行ってきた実践について報告したのに続き、小林氏と中村氏も交えて「海外での生活をめぐって」をテーマにしたパネルトークが行われた。「教材がスムーズに入手できない」など日本の常識が通用しない数々のエピソード等に会場が沸くなか、派遣教師には臨機応変に「海外」の利点を生かしつつ、情熱を持って子どもと向き合う真摯な姿勢が求められることが浮き彫りになった。

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