海外子女教育ニュース

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第64グローバル化社会の教育研究会開催(2018年6月号)2018.05.18

4月20日、64回目となる「グローバル化社会の教育研究会」が聖学院中学高等学校(東京都北区)で開かれ、教育関係者を中心に約20人の参加があった。「庶民のための数学教育とは?……現実世界を読み解き解釈する能力の育成を」をテーマに東京学芸大学教育学部数学科教育学分野教授の西村圭一氏が話題提供を行い、来場者が意見を交換し合った。
西村氏は、日本の中学・高校生は数学を学ぶことを重要だと感じている割合が他国と比べてかなり低い点を指摘し、数学教育において実生活のなかで具体的に数学を活用させることが必要だと述べた。具体的にイギリスの数学教育の改良プロジェクト「Bowland Maths」を活用し、世の中の課題を数学的に解決していくケーススタディーを数例紹介した。「地域の交通事故を減らすにはどうしたらよいか」という課題では、事故が起きた場所、時刻、被害者の年齢等のデータをもとに、生徒たちが仮説を立てたり、データを絞り込んだり、目的に合ったグラフを選んだりしながら、交通安全対策を考える。自分たちの考えた対策をデータを示して伝え合うことで、決定に至る過程を実践的に学ぶことができると解説した。つまり、生徒たちは身の周りの生活のなかで、実際に数学が役立つことを実感できる。同じ数学を学んでも、実感することで、育つ力が違ってくるという。
さらに、日本学術会議(2013年)での「これからの市民にとって、数理科学的な事象の把握・処理の能力は欠かせない。市民が正しい判断を行うためには、データに基づき物事を量的に把握することが必要不可欠」との報告を紹介し、「現実世界の問題に数理科学を応用するためには個々の具体的な事例から共通点を探り、一般的な原理や法則を導き出す能力も必要になる」と述べた。
会場からは「授業における評価はどう行うのか」「多くの授業時間が必要だと思うが、どう実践していくのか」といった質問のほか、「教える側の数学リテラシーが問われる」「数学のみならず、どの教科でも実践可能な魅力的な授業だと思う」「AIが進歩するなか、人間にしかできないことを考える必要がある」等の声が上がり、活発な議論が続いた。
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