海外子女教育ニュース

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帰国子女教育を考える会 第74回例会開催(帰国子女教育を考える会)(2017年2月号)2017.01.26

「帰国子女教育を考える会」は11月26日、YMCA学院高等学校(大阪市天王寺区)で「日本人学校の原点と今」をテーマに研究例会を開催。教育関係者ら28人が参加した。
同会は、おもに関西圏で帰国生教育に携わる教育相談員や企業の人事担当者、帰国生受け入れ校の関係者や保護者に加え、海外・帰国子女教育を研究する大学関係者を中心に1990年にネットワーク化された。現在では年3回のペースでテーマを決めて例会を開いている。今回は「海外・帰国子女教育の原点ともいえる日本人学校の過去・現在、そして未来を展望しよう」という企図のもと、同会前会長の小島勝氏と現会長の山下良一氏、若手研究者の芝野淳一氏の3人が発題者となった。
はじめに、小島勝前会長(龍谷大学文学部名誉教授)が「台北日本人学校の『前史』とその特徴」と題し、日本人学校の歴史研究の一例として台北日本人学校を紹介した。一般的に第二次世界大戦後の最初の日本人学校1956年1月に設立されたバンコク日本人学校とされているが、じつはそれより先に台北で設立されていたのではないかと疑問を持ち、同校の歴史に触れることになったと説明。調査の結果、「創立・設立・発足」時期にはいくつかの見解があるものの、日本からの教員派遣を要請する時期がバンコクよりも遅れるなどしたために、日本政府の「台北日本人学校」の認知が遅れることになったのではないかと語った。その点から、当時の台北には教育に携われる日本人がいて、自分たちで学校をつくろうという気運があったことが予想されるとし、学校の礎を調べることで「特徴」を知ることができると述べた。
次に、山下良一現会長が「ニューデリー日本人小学校の誕生と今」と題し、自身の派遣経験(1965〜67)を踏まえ、ニュー・デリー日本人学校が1964年9月に開校した当時の事情等を報告した。さらに、約50年が経過したいま、グローバル化社会における現下の日本人学校の在り方について国際学校化する案など具体的な提言を行ったほか、今後の日本の教育のあるべき姿に関しても触れた。
最後に、現地でのフィールドワークにも従事している研究者の芝野淳一氏(大阪成蹊大学教育学部)が、「グアム日本人学校における教育ニーズの多様化」と題した発表を行った。近年、国際結婚家庭等さまざまな社会・文化・経済的背景を持つ子どもが急増しているグアム日本人学校の状況を紹介し、多様化する様子を「親の教育戦略」「子どもの学び」「卒業後の進路」の3つの側面から検討した。さらに、このような状況の中での学校運営の難しさについて触れ、教職員の奮闘ぶりについても言及した。そしてこの事例は、これまでの海外・帰国子女教育が想定してきた「海外子女教育」「帰国子女教育」「在外教育施設」の役割について再考を迫るものであるとし、今後は多様に開かれた海外・帰国子女教育を構想・実現していく必要があるのではないかと提言した。
会場からは「日本人学校設立当初の目的である『帰国後の適応教育』も大切」との声が挙がり、活発に意見が交換された。日本人学校の存在は海外・帰国子女教育の原点であることが再認識され、今後も「日本人学校シリーズ」としてこのテーマに取り組んでいくことが確認された。
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