海外子女教育ニュース

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第59回グローバル化社会の教育研究会開催(2017年6月号)2017.05.19

4月28日、59回目となる「グローバル化社会の教育研究会」が波多野ファミリスクール(東京都新宿区)で開かれ、「21世紀の教育を考える」をテーマに金沢学院大学教授・目白大学名誉教授で日本学校教育学会の元会長でもある多田孝志氏が話題提供を行い、来場者が意見を交換し合った。教育関係者や帰国生の保護者などを中心に約20人の参加があった。
多田氏は東京都の公立小学校に勤務していた時代、クウェート日本人学校やベロオリゾンテ補習授業校に派遣教員として赴任し、その後、目白学園中学校・高等学校の教諭も務めた。カナダの中等学校に研修留学した経験もある。
氏ははじめに、日本の教育改革は遅れていると指摘し、22世紀に持続可能な社会の担い手を育む必要性を訴えた。
人工知能やバイオテクノロジーなどが飛躍的に発展し、世界のグローバル化が急速に進むなか、これまでの記憶力に頼る学力ではなく、創造的・協働的な活動を創発し「想定外と向き合い、乗り越えられる力」をつけることが求められていると述べた。
またPISA等、学力の「世界標準化」の動きに対し「計測できる狭い面だけを強調して、道徳的、市民的、芸術的発達は測定されていない」との疑義があることに触れた。理念や先例のみにとらわれ、教師も子どもも疲れている、教師は目の前の子どもに向き合う余裕がなく、子どもは考える習慣や個性が剥奪されているのではないかと、その現状を紹介した。
そして教育は「教える」ものではなく、学ぶ喜びに出会わせるものとし、異なる存在との「動的な境界への眼差し」を持ち、相互浸透の「場」をつくることの重要性について語った。
さらに、教師は企画者・支援者・協走者・先導者・学習者の顔を持ち、子どもの「いま」を見取り、先を見据える力を持つことが大切であると述べた。
講演の最中には、「考える子どもに育てるためにはどうしたらよいのか」自分の考えを書いたり、参加者同士で討論したりするひとときがあったりと、来場者が主体性を持って参加する時間もあり、会場は終始一体感ある温かい雰囲気に包まれた。
質疑応答では「子どもだけで高みを目指すことは可能か」「日本の教育学部の教員養成カリキュラムは変わってきているのか」等の質問があったほか、「異文化の人への理解を深めるにはいっしょに生活することが大切」「教師は子どもの伴走者、コーチングのような姿勢が今後はますます求められるのではないか」「教員がいちばん大切にしないといけないのは教材研究。ほかのことで忙しく発問の研究などができない現状は改善しないといけない」等の感想が聞かれた。

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