海外子女教育ニュース

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帰国子女教育を考える会第75回例会開催(総務省)(2017年5月号)2017.04.18

「帰国子女を考える会」は3月11日、大阪YMCA学院日本語学校(大阪市)にて、『グローバル化が進展する中で、日本人学校や補習授業校はこれからどうあるべきか』をテーマに、全国海外子女教育国際理解教育研究協議会(全海研)の滝多賀雄会長の基調講演をもとに研究例会を開催し、三十三人が参加した。
 滝氏は、全海研の活動趣旨・内容や在外教育施設の歴史・現状について説明したうえで、日本人学校の役割について「小学校段階では知識習得に偏重することなく、興味・関心を高めることが大切」と述べた。
 また教師は子どもたちに上手に疑問を投げかけて子ども同士の対話や討論を引き出し、思考力やコミュニケーション能力を育むことが重要であると説き、特に在外教育施設ならではの「出会い」や「体験」「日本語への渇望」を存分に生かした指導の必要性を訴えた。
 興味・関心を引き出すために、子どもが親しみやすい写真や図鑑、絵、書物などを存分に与えることを勧め、好きなことであればその能力は伸び、それとは直接関係のない部分でも能力を発揮する『汎化』という原理発見過程が起きると解説した。
 続けて、日本人でありながら日本の文化をよく知らない子どもも見られるため、身近な素材を教材として活用することを推奨した。たとえば日本人学校の教師は全国から集まってきているので各地域の生活習慣や食べ物の違いを持ち寄ることでも日本文化が見えてくるなどと具体的な事例を挙げ、わかりやすく説いた。
 さらに最近では日本人学校があっても現地校やインターナショナルスクールに子どもを通わせる家庭が増加していると話し、日本人学校にはもっと魅力ある授業をして子どもたちを引き戻すような努力が望まれると要望した。
 そしてその傾向に伴って補習校の必要性が高まっていると述べ、世界各地の補習授業校について紹介した。それぞれ現地のニーズにこたえて教育活動に取り組んでいる一方で、なかには現地採用教員の確保が困難だったり、教員有資格者の不足から教育の質に課題が見られたりもする学校もあるといい、全海研では小・中学校用の算数・数学の指導資料を作成し支援していると案内した。
 最後に、滝氏はグローバル人材について「自国の歴史文化・習慣・風俗などをよく知り、自国愛を持ち、語学力、たしかなコミュニケーション能力を身につけることである」と語り、日本人学校や補習授業校に関しては「キャリア形成や国際理解等の発達を促し、グローバル人材の育成や、日本文化の発信拠点の場になり得る大事な役割を担っている」と、今後の発展に大きな期待を寄せた。
 質疑応答では、「日本人学校や補習校は、帰国後に日本の学校になじむための教育は行っているのか」等の質問があった。
 元帰国子女の来場者からは「私はいじめられないために隠れ帰国子女を装った」「日本の学校に渡される内申書の内容を知っておきたかった」との声も上がり、日本人学校や補習校に通っていたとしても日本の学校にスムーズに適応していくことの難しさが浮かび上がった。
 会場は大いに盛り上がり、閉会の時間を過ぎても挙手が絶え間なく続いた。

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