保護者の方・お子さん

幼児コース 監修者メッセージと配本リスト

  


◆ 「生きる喜び」を伝える絵本(児童文学者 宮地敏子氏)
宮地敏子(プロフィール)
東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。
蒲田保育専門学校講師、ニューヨーク補習授業校教諭、
洗足学園短期大学幼児教育科教授、デリー大学東アジア研究科講師を経て
国際幼児教育学会理事。児童文学者。
■著書
『サムライハット ニューヨークを行く』、『絵本・児童文学における老人像』、共著友禅染絵本
『はなともだち』『あいうえおつきさま』、翻訳絵本『やまあらしぼうやのクリスマス』 『ぞうのマハギリ』などがある。
日本から届く絵本を子どもと読み合っているお母さまお父さまから「うちの子は、この絵本にはまっています」という声がメールやファックスで財団に寄せられると、とても嬉しいです。それは、そのお子さんの魂が求めていた「なにか」と、絵本が響き合った証なのですから。毎日毎日「読んで」と持ってくる、また一人でもじーっと眺めている、こうした「はまった」状態は、その絵本が地下水のように心の底に湛えられ鎮まるまで続くでしょう。
この「はまる絵本」は親の想定外の絵本であることも少なくないようです。「この絵本のどこに魅かれているんだろう」とか「ほんとに理解しているのかしら」と。読み聞かせはこの想定外の「子ども発見」ができるから楽しい。

子どもの健全な成長を応援するためには、絵本の内容も真善美を希求し、自然への関心や人間への興味を網羅していることが理想でしょう。その志は持ちつつ、このコースでは「生きる喜び」をキーワードに選書しています。子どもたちが、生まれ育っていくこの世界を《たのしい!》と感じられる絵本。学ぶことや人と関わることを《おもしろい!》と思える絵本。それを全国図書館協議会が選定した『よい絵本』を参考にし、各年齢グループにちりばめました。

善い絵本、それは長年読み継がれてきたものが多いのですが、年齢を選びません。子どもから大人まで「善い」と支持してきたのです。ですから基本的に年齢を区切ることについて柔軟にお考えいただきたい。年長さんなのにこんなやさしい本にはまっているとか、難しすぎるからまだ無理とか親が先回りして決めないで、お子さんが興味を示す絵本をまず読んであげてください。
乳幼児期の発達には大きな個人差がありますので、同じグループ内の絵本にも種類や難易度に幅を持たせて選んであります。しかし娯楽性の高いものは外してありますし、傾向としては若干難易度を高く感じられるかも知れません。配本されたその時点では興味がわかなかった絵本も、別な機会に、視野を広げる挑戦ととらえ、今度は親が興味津々の様子で率先して絵本棚から取り出して、お子さんと読み合っていただければ幸いです。

日本は絵本文化が豊かな国です。森羅万象が絵本化されていると言っても過言ではありません。絵画表現もさまざま。言語表現もいろいろ。絵本の区分も多様です。科学絵本、物語絵本。昔話絵本、創作絵本。文字のない絵本、詩の絵本。冒険、笑い話、とんち、なぞなぞ、挨拶、障碍、おじいさんおばあさんの絵本。人権や、戦争と平和について考えるもの。視点の異なるうんちの絵本も何冊も揃います。あらゆる学問の「芽」が絵本になっています。

配本される絵本をどうぞ長い時間の幅でお楽しみくださいますよう。グループの年齢の尺度はあくまでおおよその目安ととらえ、「生きる喜び」を「伝える」絵本に、お父さまお母さまもはまって、お子さんとご一緒に至福の《読み聞かせ》《読み合い》タイムを存分に遊んで下さい。そして、ときにはお住まいの街にでかけ、本屋でその国の絵本を親子で発見するのも楽しいことでしょう。
 
▲ページトップへ

配本リスト グループ別配本例
(お申し込みいただきましたら、全リストをご案内し、お持ちの本は差し換えます。)
<Pグループ> 
1冊目 だるまさんが ブロンズ新社 7冊目 じゃあじゃあびりびり 偕成社
2冊目 お?かお! ほるぷ出版 8冊目 コップちゃん ブロンズ新社
 

<Aグループ>

4月 おひさま あはは
ぴょーん
こぐま社
ポプラ社
10月 ぶぅさんのブー
てんてんてん
福音館書店
福音館書店
5月 いないいないばあ
だっこ
童心社
小峰書店
11月 うんちがぽとん
もぐもぐもぐ
アリス館
講談社

<Bグループ>
4月 ゆめ にこにこ
はけたよはけたよ
こぐま社
偕成社
10月 しろくまちゃんのほっとけーき
はらぺこあおむし
こぐま社
偕成社
5月 おっぱい
ちいさなねこ
鈴木出版
福音館書店
11月 おおきなかぶ
でんぐりでんぐり
福音館書店
あかね書房

<Cグループ>
4月 へんしんトンネル
ぼくのくれよん
金の星社
講談社
10月 ぐりとぐら
さつまのおいも
福音館書店
童心社
5月 だめよ、デイビッド!
ちびゴリラのちびちび
評論社
ほるぷ出版
11月 三びきのやぎのがらがらどん
でこちゃん
福音館書店
PHP研究所

<Dグループ>
4月 どろんこハリー
ぴかくんめをまわす
福音館書店
福音館書店
10月 はじめてのおつかい
キャベツくん
福音館書店
文研出版
5月 まって
くまのコールテンくん
あすなろ書房
偕成社
11月 もりのなか
どうぞのいす
福音館書店
ひさかたチャイド

<Eグループ>
4月 おはなしのろうそく 雨のち晴  
 
東京子ども図書館
 
11月 ラチとらいおん
ルラルさんのにわ
福音館書店
ポプラ社
5月 わたし
ひとまねこざる
福音館書店
岩波書店
12月 おしいれのぼうけん
おくりものはナンニモナイ
童心社
あすなろ書房

<Fグループ>
4月 おはなしのろうそくエパミナンダス
 
東京子ども図書館
 
11月 1つぶのおこめ
じごくのそうべえ
光村教育図書
童心社
5月 ロバのシルベスターとまほうの小石 
ウサギのくれたバレエシューズ
評論社
小峰書店
12月 さっちゃんのまほうのて
よあけ
偕成社
福音館書店
▲ページトップへ

◆ 全国学校図書館協議会『よい絵本』の選定基準
製作態度 ・子どもに対する正しい愛情があるか。
・子どもに興味関心のある題材が選ばれているか。
・子どもの創造力・思考力を伸ばすものであるか。
・既成の概念にとらわれず、創意工夫がなされているか。
・絵と説明文がほどよく調和しているか。
・子どもの生活のリズムにあったものであるか。
・著者の意図する年齢にふさわしいものであるか。
 
絵について ・内容を的確に表現しているか。
・芸術的なかおり高いものであるか。
・子どもの感覚にあっており、理解しやすいものであるか。
・子どもを楽しくすることができるか。
 
文について ・わかりやすく、内容を正確に伝えているか。
・文学的かおりの高い文章であるか。
・内容の展開に不自然さはないか。
・文の長さ、リズム、間などについて、十分な配慮がなされているか。
・子どもに理解できることばで書かれているか。
・洗練された用語が用いられているか。
・文字、かなづかい、わかち書き等に適切な配慮がはらわれているか。
・読んだ結果がつぎの段階へ発展するよう配慮されているか。
・科学的題材を扱ったものにおいては、内容が体系的に扱われているか。
 
造本その他について ・装丁、用紙などが作品を十分に生かしているか。
・レイアウトは適切であるか。
・判型は内容にふさわしいものであるか。
・製本はしっかりとされてあるか。
・開き具合は自然であるか。
・用紙は丈夫であるか。
・印刷は鮮明であるか。
・文字の大きさ、書体は適当か。
・価格は適切であるか。
 

お問い合わせはこちらから

教育振興チーム 通信教育担当
〒105-0002 東京都港区愛宕1-3-4 愛宕東洋ビル6F
TEL:03-4330-1345 FAX:03-4330-1355

[平日(月〜金) 9:30〜17:30]
※電話・FAX番号のお間違えにご注意ください。